


■Bordelaise(ボルドレーズ)という言葉を耳にしたことがありますか?フランスの地方料理について調べていると、必ずといっていいほどこの言葉が出てきます。偉大なワインの銘醸地、ボルドー地方でよく使われている言葉で、「ボルドー風の……」というようにレスランやビストロのメニューの中でもよく見かけます。 前回に引き続き、今回もボルドー地方に焦点を絞って話をすすめていきます。 もう何年も前の話になりますが、当時ホテル西洋銀座に勤めていた私は、師匠の田崎真也氏に他のスタッフと共に連れられ、大晦日の夜に門前仲町にある成田不動尊に行った時のこと。屋台で八つ目うなぎを食べながら持っていった赤ワインやシャンパーニュを飲んでいました。その時、話題にのぼったのが、Lamproie a la Bordelaise(ランプロワ・ア・ラ・ボルドレーズ)という料理。 筒切りした八つ目うなぎをボルドーの赤ワインで煮込み、その煮汁を煮詰めてソースとした料理で、これがボルドーの赤ワインと、とてもよく合うという話は聞きますが、赤ワインで煮た料理なら、なお一層相性が良いんだろうと話が盛り上がりました。 その後もソムリエ・コンクールの問題に出題されたこともあったりと、何かと縁深いものを感じていたのですが、最近またこの料理に出会う機会に恵まれたのです。 それは私が現在勤めているミクニ・マルノウチでのことで、八つ目うなぎが、うなぎに変わったものの、それはまさしく「ボルドレーズ」そのものなのです。
■ミクニ・マルノウチでの「ボルドレーズ」Matelote d'Anguille(マトロート・ダングイユ)「うなぎのストロート」という料理で、下処理したうなぎを香味野菜と共に赤ワインで煮て、その煮汁を煮詰めてソースとするのが本来のレシピなのですが、ミクニ・マルノウチでは、うなぎは皮目を香ばしく焼き、ふっくらと蒸し上げて、修善寺産の黒米のリゾットを包み、うなぎのあらを香味野菜と共に赤ワインで煮てだしをとり、煮詰めてソースとします。 付け合わせに甘辛く煮付けた夏午蒡をそえ、五香粉をふって仕上げます。 実際にこの「うなぎのマトロート」によくおすすめしているワインは、ボルドー右岸のサン・テミリオンやフロンサックなどのメルロー種主体の赤ワインで、品種からくるふくよかさやまろやかさが、ふっくらと蒸しあがったうなぎとリゾットにとてもよく合い、皮目の香ばしさと五香粉の香りが、ワインの持つスパイシーさや木樽からの香りを引き立たせてくれます。また牛蒡のもつ大地の香りが料理とワインをさらに強く結びつけてくれるのです。 今回ご紹介したミクニ・マルノウチは、ボルドー地方料理をコンセプトにしたレストランで、「うなぎのマトロート」の他にも、Entrecote a la Bordelaise(アントレコート・ア・ラ・ボルドレーズ)「牛サーロインのボルドー風赤ワインソース」などのボルドー地方にちなんだ料理がいくつかあり、ワインもボルドーを中心にリストアップしています。
■「ボルドレーズ」についてもう少し触れましょう牛肉やうなぎ以外にも、川かますやエクルヴィス(ざりがに)、鴨肉や子牛の腎臓など様々な素材を用いた料理があり、素材によって使うワインも白、赤と使い分けているようです。 秋から冬にかけて、セープ茸という香り高い茸が出回り、そのセープ茸を用いたCeps a la Bodelaise(セップ・ア・ラ・ボルドレーズ)も忘れてはならない料理のひとつで、エシャロットやパセリと共にソテーしたシンプルな料理ですが、季節になると前菜やお肉料理の付け合せとして食卓をにぎわせてくれます。 まだたくさんの料理を紹介したいところですが今回はこのぐらいで終わります。 |
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