ワインショップ、イーエックス[eX-WINE]は、「ブック・ビクティム」な日々の「通信販売」と「情報発信」をするサイトです。

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「ブック・ビクティム」な日々

寒い日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか? 今年も残すところ後わずかになり、月日の経つ早さを実感している今日この頃です。最近は空気が乾きはじめたせいなのか全般的にワインが、特に赤ワインがおいしい季節になってきました(もちろん日本酒もこぶしがまわるほど、たまらないのですが、それは又別の機会に……)。

そんな今日この頃、じっくりとワインを飲むために、また、忙しくなってきて、なぜか落ち着かない年の瀬に向けて、今回は、ワインはもちろん食事も含めてのお奨めの本に付いて書いてみたいと思っています。

私自身は本が好き! というよりも、やや活字中毒的なところがあるせいか、ワイン屋さんには行かない日があっても、本屋とCDショップには顔を出す、ということが多く、なんだかんだと、気がつかないうちに、部屋の中は"立花隆"状態になり、それでも毎月の月刊誌は買っているし、新しく出た焼酎の本も押さえておかなくてはとなかなかに、"ブック・ビクティム"な日々を送っています。

本とCDとは、とても良く似ている点があり、気がついたときに買っておかないと、後で売れてしまって無くなってしまってからではどうしようもなく、後悔することが多いので、見つけたときに買ってしまわないと、と。どうしても数は増えていく傾向にあるのです。

そんな私が沢山の本の中から(部屋の中がジュマンジ状態の/ちょっと古い映画の例えですみません! シェ・イノの伊藤さんならわかってくれるでしょうか?)いろいろなシチュエーションに合わせて満を持してお奨めするのがこれらのタイトルです。

 

【1】割と時間がある時に、じっくりとワインについて読んでみたい。

「ワイン紀行」 増井和子著 文芸春秋刊

この本は1991年に出されたもので、フランス在住の著者が様々な観点からワインを、ソムリエを、そしてワインを造る人を独自の視点で取り上げて書いたもので、あまりその当時はワインについて詳しくなかった著者がどんな経過で、そしてどんな人との出会いによってワインについて興味を持っていったのかが、書かれています。少し資料的には古いものも多いのですが、やはり日本に住んでいる人が書いたものとは異なった、ヨーロッパに長年住んでいないと感じられることのない、ワインとの微妙な距離感というものが文章に表れていて、楽しめます。

特にベトナム料理で知られている、"タン・ディン"のオーナーとの出会いから始まる"ペトリュスへの旅"を読むと、神格化されたワインについて語るというよりも、その背景や造り手の情熱が感じられて、ワインって(ペトリュスって!)おいしいものなんだなと、銀行の貯金額はさておいて、たまらなく飲みたくなってくるので注意が必要です。

作者の増井和子さんは、この他に「パリの味」という最盛期のジャマン、(いわずと知れたロブュションが率いていた、あのレストランです。)を核にしたレストランについての本も書いておられ、この本を読んでしまったためにパリに憧れ、フランスへ修行に行ってしまったという料理人も多く(私もそのうちの1人なんですけど)この人の著作を読むときには注意(?)が必要です。

 

【2】レストランの内訳を、内状を読んでみたい。というある意味殊勝な興味をお持ちの方のためには

「星に憑かれた男」  青山出版社刊があります。

フランス以外でも名の知られている、ベルナール・ロワゾーがミシュランの三ツ星を得るためにどんな苦労があったのか、さらに実際の調理場や、ホールのサービスについても細かく書かれており(逆にここまで書いてもいいのかなと少し心配になるところもあるくらいです)。レストランを維持していくというのは大変なことなんだなーと改めて感じさせてくれます。

特に雪や雨で客足が延びないでいらいらするところなどは、とても他人事とは思えないほどで(規模はもちろんマクシヴァンとは違うんですけど)、三ツ星になったら順風満帆で悩みなんかなくなるんだろうなと、簡単に気軽に考えていた私に、(あー結構みんな大変なのねと)刺激を与えてくれました。

ワインやチーズを選ぶために生産者を訪ねたり(ここも実名で出てくるのでなかなかどきどきします)、食材を探す苦労を語ったりと、気取らない、それでいて少し情緒不安定気味な彼の、スピード感溢れる毎日が魅力的に書かれています。

個人店のオーナーの方なら特に面白く感じられることでしょう。

 

【3】特に料理について、そしてその他の事柄について全体的に、系統立てて知りたい!という方には

なんと言っても1995年に出版された「辻静雄作品集 ETUDE DE LA CUISINE FRANSAISE」新潮社刊がお奨めでしょう。

私が改めて紹介するまでもなく日本の料理界にあまねく知られている、辻静雄氏が書かれた本をまとめたもので、柔らかくそれでいて格調高い文章からは、まさに行間からにじみ出てくる料理への愛情というものが感じられて、この本を読み返すたびに、日ごろの私の心掛けの甘さというものが気になり始め、自然と背筋が伸びるように私は感じます。

この本と並行して、海老沢泰久氏が書かれた「美味礼讃」文芸春秋刊を読むと、辻氏の功績が日本のフランス料理界に与えた影響がいかに大きかったのかということと、先陣を開拓して進んでいくということの困難さが感じられて、より一層の相乗効果が得られるでしょう。

これからもっとワインや料理について学んでいきたいという方、特に若手の方にとってお奨めできる本です。

私たちがこの業界に入った頃には、まだそんなに専門書も多くなく、特にワインのことや、フランスのレストランについて書かれた本は少なかったのですが、そんな中で、辻氏の書かれていた、「パリの料亭(れすとらん)」は私たちのバイブル的な役割を果たしていて、私がはじめてパリを訪れたときに、いろいろ探してやっとたどり着いた、本に載っていた写真のままのレストランの前で、ついにここまでやってきたんだなーと感慨深かった思い出があります。

「ただ取材してまとめました」というものではなく、レストランというものを、そしてそのオーナーを、さらにフランス料理というものをわかった上でかかれているので、我々読み手としては、まだ見ぬフランスというものに、違和感を覚えること無く、文章を消化しやすかった記憶があります。ただ残念な事に現在は恐らく手に入りにくいので、古本屋さんなどで見かけたら迷わずに買われてはいかがでしょうか。

といろいろと書いてきましたが、残念な事に今回すごい、すごい、すごすぎる、と紹介しておきながら、もしかすると既に何冊かの本が既に絶版になっている可能性があると思います。しかし、もしチャンスがあって、どこかで今日紹介した本と巡り会えたのなら、ぜひじっくりと読んでいただきたいと思い、あえて紹介してみました。

次回は今回の続きで特にソムリエ・ワインに特化した本を、お奨めパート2として紹介してみたいと思っております。

乾燥した寒い日が続きますが、風対策をして、元気にワインを飲んで暮らしていきましょう。

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