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みなさんこんにちは。サテライト・パリのいづみです。 パリもめっきり涼しくなり、カフェをみても屋外で日光浴を楽しむ人は減り、サンルームのような屋内でお茶と会話を楽しむ姿が目につきます。 これから日もどんどん短くなり寂しい気もしますけど、それでもやっぱり秋のパリは最高です。 夏はフランスのラテンの色がでる季節とすれば、秋はフランスの文学・芸術の色が出てくる季節です。 ちょっとシックなおしゃれをして、ちょっとした本を片手にカフェへ出かけてみたくなるような、そんな季節です。 日本のみなさんは、どういう秋を過ごされますか?
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【インデックス】
1.CHAMBRE DE COURTIER (クルティエの部屋)
マルシヤック探訪 文章:辰沢恭二
2.CHAMBRE DE PARISIENNNE (パリジェンヌの部屋)
今日はマドレーヌのフォーションでお買い物! 文章:大野いづみ
3.CHAMBRE DE VIGNERON (栽培家の部屋)
畑における収穫直前と収穫中の仕事。 文章:浜田孝太郎
4.CHAMBRE DE OENOLOGUE (醸造家の部屋)
白ワイン造りの基礎その1 文章:天川夕香子
【1.CHAMBRE DE COURTIER】 (クルティエの部屋)
マルシヤック探訪
文章:辰沢恭二
みなさん、こんにちは。フランスの辰沢です。
フランスでは9月の第2週目に入ってから小雨まじりの寒い気候が続き、収穫がずれこんでしまった地域も多かったのですが、9月22日(土)、23日(日)には素晴らしく晴れ渡り、24日(月)から良いコンディションで収穫をスタートできた蔵も多いようです。
ぶどうの出来はそこそこ良い一方、雨のせいで貴腐などのカビが発生した房も多く、今年は収穫時のぶどうの選別がキィになる、つまり造り手によってワインの出来にばらつきがでる年になるのじゃないかと予想しています。
こんな難しい年のワイン選びこそ、クルティエの出番だと思っている今日この頃です。
■今回はちょっと特殊な地域の生産者を。 「マルシヤック」
イーエックス・ワイン総合監修の石田ソムリエ、及び、主宰の永野さんのコラムをご覧の方はご存知と思うが、イーエックス・ワインではフランスの未開の地、マルシヤックという優れたワインを扱いはじめた。
石田ソムリエ、永野さん両氏の話を聞けば聞くほど、マルシヤックは優れたワインの様子。
お恥ずかしながら、フランスを拠点に活動している僕も「マルシヤック」というワインの評判を聞いたことがなかった。
かなりのレベルのワインを産み出す産地ならば(例え海外で無名であっても)、ほとんど知っているつもりだが、マルシヤックだけはノーマークだった。
これはうかうかしていられないと、8月にマルシヤックに足を伸ばしてきた。
石田ソムリエの記事「マルシヤック―赤と緑の斜面から―」
http://www.exwine.com/ishida_file/04.html
永野さんのコラム「秘境(!)の高品質マルシヤック」
http://www.exwine.net/column/ftv/06.html
■マルシヤック
マルシヤックは総面積たったの150ヘクタール、ブルゴーニュの特級畑、クロ・ド・ヴージョの3つ分でしかない。アペラシオンの認定も89年から。小さく新しいアペラシオンであり、フランス国内でも無名に等しいのも無理はない。
かつては現在の約10倍の広さを持ち、隆盛を誇っていたが、1800年代後半のフィロキセラ禍の後、この斜面の畑を復活させることなく離農した人が多かったらしい(AOC認定エリアは現在植樹されている面積の10倍ある)。
それもそのはず、写真をご覧の通り、畑はテラス状の段々畑となった急斜面となっており、往年の重労働が簡単に推測できる。
地理的には南仏とボルドーの中間辺りに位置し、ボルドーの東、南仏の北に位置する。
AOCマルシヤックは南西地方に属しているが、文化的背景は南仏、気候は南仏の地中海性気候、ボルドー方面の大西洋性気候、そして大陸性気候が入り交じった地域であり、実に特殊な地域である。
■ドメーヌ・ジャン=リュック・マッタを試飲する
まずは、イーエックスのプロたちが惚れ込んだというブルージュル村の造り手・マッタを訪問してテイスティングをした。
新しいワインを判断するとき、事前に情報を集め過ぎると、テイスティングの際に先入観が入ってしまうことがある。
僕の流儀では「とにかくまず試飲」してみるようにしている。生産者のコメントもあまり聞かない。とにかく、なるべく真っ白な状態で味わってみる。
さてテイスティングだが、正直、驚いた。素晴らしかった。 フランスに拠点をおいているにもかかわらず、こんなワインを見逃していた自分を恥じてしまった。
香りは閉じている感じだが、黒いフルーツの果実がでている。また、カベルネ系らしい、ペッパーなどのスパイスの香りや、グリーン色の野菜の香りも出ている。
口に含むと、まずエレガントな酸と骨格と軽快な果実を感じ、次に、柔らかく深い果実味が口の中で膨らんでくる。それも薄っぺらいものでなくて確実にぶどう本来の果実の厚みを伴う。
そして余韻に再びスパイスのニュアンスなどの複雑性が現れ、エレガントできれいな酸味が長い余韻を形成していた。
私の専門のブルゴーニュワインの感覚でいえば、香りは若く頑固なヴォーヌ・ロマネ、口に含んだファーストアタックはボジョレーのようなフルーティー&フレッシュ、味わいの中位ではシャサーニュの赤のような愛らしくも深みのある果実味、フィニッシュは若いシャンボールのようなエレガントで毅然とした酸の長い余韻。
ブルゴーニュをあまりご存知でない方には、逆に難しい比喩だったかも知れないが、とにかく口の中で七変化してゆく何とも複雑で不思議なワインなのだ。
このキャラクターは一言では言い尽くせないだろう。
きっとある人はボルドーのカベルネ系の味わいのワインだというかも知れないし、ボジョレーのようなワインだというかも知れない。 またある人は、軽快でフレッシュ&フルーティーというかもしれないし、ある人は深みと厚さのあるワインだというかもしれない。
どうして、このような多重の構造をもつ個性的なワインができるのだろうか?
■マルシヤックのテロワール
マルシヤックを訪問して驚かされるのは、切り立つ斜面の畑、真っ赤な土壌、そしてフェール・サルヴァドー種という品種の栽培である。
一目でこの特殊な条件が特殊なテロワールをもたらし、個性的なワインを造り出しているであろうことが伺える。
今回訪問した造り手・マッタ氏によれば、マルシヤックの個性とは3つの特殊な要素(ぶどう、天候、土壌)から成り立つという。
1)ぶどう品種フェール・サルヴァドー種
マルシヤックでは、フェール・サルヴァドーというカベルネ系の特殊な品種をメインに用いる。
この品種はたとえばボルドーのムールヴェードル、チリのカルチネールのように晩熟型。成熟に時間のかかる栽培の難しい品種である。
よってこの品種は、この地の日当たりの良い急激な斜面、それもV字谷の南側の斜面だけに植樹されている。
この品種は、同じ系統であるカベルネ・ソーヴィニヨン種、カベルネ・フラン種に似たスパイス系の香や骨格と酸を持つ。一方、決定的にこれらの品種と違うのは、タンニンが少なく柔らかいことと、果実味がより感じられることである。
2)天候
大陸性的な乾燥した気候だが、温暖な地中海の影響も受けている。夏場に雨が少々降るが9月までには止み、秋は晴天が続く。
この特殊な気候パターンが、長い成熟期間が必要なフェール・サルヴァドー種にマッチしている。
この個性的な品種が、いわゆるメジャー品種の波にのまれることなく、この地で綿々と残ってきた理由が窺い知れる。
3)土壌
地元で「ルジィエ」と呼ばれている赤土がメインの土壌。これは鉄分を多く含んだ粘土質ゆえに赤みを持っている。そして写真をご覧いただきたいが、斜面上部には太古の地盤隆起による石灰岩の層があり、そこから流れ落ちる石灰質土壌が混じり合う。
よって、斜面上部ほど白っぽさのある赤土になり、底部は赤さの目立つ肥沃な土壌となっている。
■クルティエ的見地から最良のマルシヤックを考える
すでに訪問したイーエックススタッフによって、生産者のセレクションは終了しているが、ここで一度、白紙に戻った気持ちで、クルティエ的見地からマルシヤック最良の生産者を考えてみたい。
さて、最良の生産者を捜すには、上記のマルシヤックの3つの特徴的個性(ぶどう、気候、土壌)から以下のようなことがポイントとして推測される。
1) ぶどうは猛烈な急斜面で風雨を凌ぐわけだから、実に強い根を張らざるを得ない。急斜面にある畑、これが個性的なテロワールを表現するはずである。
よって、厳しい斜面を持つ生産者が狙い目になる。
2) 斜面底部は肥沃ゆえに保湿性が高く、根が地中深く伸びないと予測される。斜面上部では急斜面ゆえに肥沃な表土は流され、石灰岩が主流のやせた土地となるため、根が大地の要素を吸収しやすい条件下を持つ。
よって、斜面の中腹部から上部にかけての畑を持つ生産者を狙う必要がある。
3) 夏の高温期に雨の降る特殊気候ゆえ、カビなどの病害に侵されたぶどうの発生が考えられる。よって水はけの良い中腹以上の急斜面の畑を持つ生産者にクリーンなワインを見つけられるはずである。
4) フェール・サルヴァドー種は成熟が難しいぶどうゆえ、日照の確保が重要である。よって微妙なうねりのある土地の中でも、南東向の斜面の優れた畑を持つ生産者を狙う必要がある。
5) V字谷という地形ゆえ、斜面の底部では反対側の山に遮られて日照時間が短い。よって日照確保には斜面上部の畑が望ましい。
なお、この品種はうまく熟さないと青み・エグミなどの雑味が出てしまい、優れたワインにならないというから、日照確保は実に大切な要因である。
●これらすべての要因を勘案すれば、マルシヤックでは斜面中腹以上の畑に圧倒的なアドバンテージがあることがわかる。
よって、クルティエとしては、「斜面中腹以上の畑をもつ優良な生産者を狙え」となる。
そして、マッタ氏はまさにそんな畑ばかりを持つ生産者であったのである。
■クルティエ的見地から、最良の生産者を捜す
良い畑ならば良いワインができるとも限らないのは、ブルゴーニュでも当然。
良い畑をもつ生産者の中から、最良の生産者を捜すことが重要になる。
最良の生産者とは次の3つの要素から選び抜けるであろう。
1)優れて手入れされた醸造設備を持つこと
極度に不衛生な設備、貧弱な設備をもつ生産者には、ピュアでクリーンなワインを造ることは難しい(ごく稀に例外がある)。
古い設備でも構わない、とにかく丁寧に手入れされた設備をもっているかどうかは、クルティエとして常にチェックをしている点である。
マッタではノーマル・キュヴェ用にはステンレスタンク、上級キュヴェ用には開放式のコンクリートタンクと熟成用のフードル(大樽)を持っているが、清潔で手入れの行き届いたものであった。
この設備の視点から、マッタはクルティエ的視点から合格である。
2)畑仕事を丁寧におこなうこと
醸造所内での技術競争、設備競争というのには限界がある。
優れた設備やテクニックというのは、できる得る限り最大限にぶどうの持つポテンシャルを引き出すことができるが、ぶどうそのものの質以上のものはどう頑張っても引き出すことができないからだ。
つまりワインの質はすべからく畑に基因するといえよう。
この視点からも、マッタは合格である。
基本的にはオーガニックでぶどうを作り、必要な時は必要量を少量だけ使うというスタイル(リュット・レゾネ)をとっている。化学薬品も化学肥料も一切使用していない。除草は地表を耕すことで処理している。
収穫もすべて手摘みで行っている。マッタの畑での仕事は実に丁寧であった。
剪定の方法、ぶどう果、ぶどうの葉などをチェックをすれば、だいたいその生産者はどういったやり方なのかが見える。畑は嘘をつかない。
3)生産者に情熱があること
これは上記の1)、2)に密接に絡み合う。
つまり造り手に情熱がないと良い設備を得ようという方向性も生まれない。また、そうでないとセラーのこまめな清掃という根気の必要な仕事も成し遂げられない。
畑の管理にしても、これだけの急斜面で重労働が要求される環境の中、なかなかできることではない。
また1年、2年くらい良いワインを造ることができても、情熱がないと継続されない。もし僕がクルティエとして誰かに紹介した生産者の質が年々下がってしまえば、信用問題にもつながってしまう。
その意味でもマッタは大合格であった。
彼は人懐っこく情熱的な人物で、栽培や醸造の話になると止まらないタイプの人間だ。ブルゴーニュでも優れた造り手はほぼ例外なく(表面に出すか出さないかは別としても)情熱的である。
握手してみれば、ごつごつとして分厚い手のひら。
イーエックス・ワインのチームは、本当に素晴らしい人と巡り合ったものだと思う。
「後づけの論理」で、イーエックスがセレクトした生産者を検討してみた訳だが、「マッタという生産者を選んだのは、大正解」という形になってしまったようだ。
読者諸氏にも、ぜひ一度、この個性に満ちたワインを試してみて頂きたいと思う。
【2.CHAMBRE DE PARISIENNNE】 (パリジェンヌの部屋)
今日はマドレーヌのフォーションでお買い物!
文章:大野いづみ
ギリシャ神殿を思わせる堂々たる姿のマドレーヌ寺院。パリを訪れた方にはおなじみのスポットですよね。
この建物をぐるりと囲むように、以前ご紹介したバカラを始め、キャビア、トリュフの専門店や高級食材店が軒を連ねています。
パリでもっともお値段の高いレストランと噂される「ルカ・キャルトン」があるのもこちらです。
中でもベビーピンクの日さしが女心をくすぐるのが「FAUCHON」。
フレンチマダムはもちろん、世界中から「フランスのおいしいもの」を求めに来た人々がいっぱい。
ショーウインドーの艶々光るスモークサーモン、色とりどりの前菜類、それに季節のフルーツてんこもりのケーキ。ご、ごくり……。
缶詰、瓶詰めの整然と並ぶ30番地、EPICERIE館に入り、吹き抜けワインカーブを通り過ぎ、ピンクサテンのエレベーターに乗って2階へ。今日の目的地はスパイス売場!
多様なスパイス類が、それぞれつんと香りを放つエキゾチックな佇まい。 こんなところに来ると、スパイスとヨーロッパの歴史、古く深く生活に根づいた実状に、思いを馳せずにはいられません。
ペッパーだけでも8、9種類。うーん、見たことのないこれなんか、なんに使うのでしょうか!?
「このPOIVRE DE SECHLAN はフォアグラのソテーに、こちらの JAVA 産は果物のコンポート煮に……」
日本人スタッフの方が丁寧に説明してくれます。
お料理の幅が広がりそうです!
このスパイス売場通い、ワインのアロマ「スパイス」を嗅ぎ取る勉強のためにも、欠かせなくなっているのです。
【住所・TEL】
30 PLACE DE LA MADELEINE 75008
TEL:01 47 42 95 49
営業時間:9時30−19時00(日曜定休)
地階にワインカーブあり。
2階はスパイス売り場と紅茶売り場。フォーション自慢の各フレーバーティーが唐草模様の陶器にはいって並んでいます。ちょっとインドとの貿易商になった気分。
お隣、26番地はパン、お菓子類。さすがフォーション、紅茶を使ったケーキが特におすすめ。
28番地はサロン・ド・テ。スパイスやビネガーをうまく利かせたお料理を、実際に食べることができます。
24番地は惣菜売り場。すこしずつ持ち帰ってホテルでパーティーなんてのも楽しそう。
(30から24までぐるりとつながって、フォーションピンク一色。目当ての売り場をしっかり把握して行きましょう)
【3.CHAMBRE DE VIGNERON】 (栽培家の部屋)
畑における収穫直前と収穫中の仕事。
文章:浜田孝太郎
皆さんこんにちは。お元気ですか?
今回はブルゴーニュにおける収穫直前と収穫中の畑での仕事をリポートをしたいと思います。
■2001年の収穫の日程が決まった
さて、恒例の「収穫前の生産者の会合」の日程が通知された。
この会合は今年のぶどうの傾向を昨年と比較したり、過去5年間の似ている年と比較したりする。また収穫・発酵の注意点、禁止事項の確認、そして毎年私が一番楽しみにしている「最新技術と実験結果」等々がレポートされる。
今年の会合はコート・ド・ボーヌ地区はサントネイ村で13日、コート・ド・ニュイ地区はモレ・サン・ドニ村で18日に行われた。
写真はコート・ド・ニュイ地区のピノ・ノワールとコート・ド・ボーヌ地区のシャルドネの糖度、酸度の表である。


そしてその後、収穫解禁日も決定される。これは県知事が出す。
2001年のブルゴーニュの収穫解禁日はコート・ド・ボーヌ地区が17日、コート・ド・ニュイ地区が20日、オート・コート両地区は25日と決まった。
なお先月書いたP.L.C.(許容超過収穫量)は今年は20%となった。残念ながら雹の害にあった Volnay ヴォルネイ村は 1er Cru Santenots プルミエ・クリュ・サントノ畑以外は0%となった。あと少々例外はあるがここでは触れないでおく。
■いよいよ収穫の準備に入る
収穫が迫ってきた。9月初めの時点で、ぶどうの糖度がそのまま発酵させても11度まで達するような畑もある。
今の所、コード・ド・ボーヌよりコート・ド・ニュイの方がぶどうの熟度が高いようだ。
総酸度は2000年に引き続き今年もすでに不足している。酸度というのはこの時期から上がることはなく、収穫日までどこまで落ちるのやらという感じである。9月初めの現在、気候は寒めであり、朝8℃位の気温の日もある。
今年も多くの蔵は「収穫人確保競争」で苦戦しているようだ。
■畑での収穫前のチェック
私の蔵では、8月末からぶどうの糖度・酸度のチェックを週に1回行っている。もちろんしない蔵もあるが。
チェックする区画の中をとぼとぼと歩きながら合計200粒のぶどうを指でもぎ、蔵に持ち帰って潰し、その果汁から糖度と酸度をチェックする。そして畑・ぶどうの状態(病気等々)も勘案し、収穫の順番を決めていく。
私が働いている蔵は畑が20ケ所以上にも分散されているので、この「収穫の順番決め」が実に大切になる。
■蔵での収穫前の準備
蔵の掃除と機材(発酵桶、圧搾機、ホース、ポンプ、収穫籠等々)の消毒・洗浄、トラクターの「収穫バージョン」への変更も行う。
補糖用の砂糖の手配や新樽の手配もする。
そして面倒な書類の事務手続きも少なからずある。
まず第一に収穫人をキッチリ申請しておかなければならない。第二にネゴシアンの場合、ぶどうで買い付けるのか、果汁で買い付けるのか、そしてどれだけの量かを決めて、このぶどうなり果汁の「運搬許可」もとりつけておかなければならない。
収穫期間中は色々な「抜き打ち検査」がある。畑にいきなりお役人さまたちが入ってきて、「不法労働者」のチェックをしたりする。申請した人数より多く収穫人がいてはならない。また、道路ではぶどうや果汁を運搬しているトラックがお役人さまに突然止められ「運搬許可」の携帯を確認する。
「お役人さま」は蔵にも突然入ってくるが、これは私の領分ではないので割愛する。
■収穫の仕事
収穫中は8時から12時、14時から18時が基本的な「収穫時間」となる。
時給は43,72フラン(約900円弱)。食事付き(0食から5食)、寝泊り可能、通いしか駄目等々、蔵によって条件は違う。期間はおおよそ1週間。
ほぼ毎年決まった「通い」の人たちだけで収穫ができる場合は、天気と相談しながら収穫を進めらるが、「ほぼ全員寝泊り」という状態では少々の悪天候でも収穫を「決行」せねばならない状況にもなったりするのが実状だ。
中には収穫開始時間を8時より遅らせる蔵もある。ぶどうに付いている「朝露」が乾くまで収穫をしないらしい。かなり「マニアック」といえよう。
■「ぶどう切りチーム」「運びチーム」に分かれる収穫方法
収穫初日となると、まず収穫してくれる人々に切るべきぶどう、残してもかまわないぶどう、干からびていたり、腐っていたりする部分の除去等々の説明をし、ぶどうを切り始める。
収穫の仕方も蔵により「それぞれ」である。
収穫人は「ぶどう切り専門」と「ぶどう運び専門」に分かれ、畑の端に大きな荷台を置き「運び専門野郎」は畑の中を歩きながら「ぶどう切り」チームの人たちが切ったぶどうを背中の籠に集めて行く(「運び」は、女性が期間中この作業を続けるのは肉体的に困難だから「野郎」で構わないのだ)。
この籠が一杯になったら荷台まで戻り、背中の籠一杯のぶどう(約30kg)を放り込む。かつて「切り専門」より「担ぎ専門」の人達のほうが「稼ぎ」はちょっとだけ多かったのだが、何と今年から同一賃金となってしまった。
■トラクター&バケツリレーによる収穫方法
別の方法もある。
畑の中にトラクターが入り、収穫人が20人いれば右と左に10人づつ従え、収穫のぶどうを切るスピードに合わせ「ノロノロ」と進むやり方だ。
このやり方では頃合をみて収穫人が「バケツリレー」をしてど真ん中のトラクターに積んでいるぶどうケースにぶどうを空けてゆく。この場合「担ぎ野郎」は必要ないわけだ。
この方法ではぶどうをケースごと蔵に移動するので、大きな荷台で一括して運ぶよりもより完全な状態で運べる。つまりぶどうが潰されることなく蔵まで持ち込め、さらに果汁の損失、酸化を防げる。
しかしこの方法で1回に運べる量は少ないので、蔵と畑を往復する回数が増えてしまう。
収穫する畑が蔵近辺にだけ集中していればこの方法がいいのだが、やや遠い所の畑で収穫する場合はこの方法はとれないのが実状(例えばジュヴレイ・シャンベルタンの蔵がコルトン・シャルマーニュに収穫に行く場合など)。
■ぶどう収穫ケース
この「ぶどう収穫ケース」にも種類がある。
底や横に穴が空いている小さなケースと、穴の空いていないやや大きめのケース。この選択も蔵によって違う。
穴空きケースの方が不必要な水が切れて、収穫されたぶどうにとっては良いと思えるが、仕事が増える上にその後の「使いまわし便利度」を考えると……ということである。
■ぶどうを蔵に運び入れる
収穫されたぶどうは可能なかぎり早く蔵に持ち帰り、処理することが望ましい。だが気温の高い快晴下で収穫が行われた場合、その日最後の収穫分のぶどうを1晩外に放置し、ぶどうの温度を下げてから処理するところもある。
さあ、蔵にぶどうが到着した!
まず計量をする。
重さがわからないと出来上がるワインの量がわからないからだ。約130kgのぶどうで100リットルの果汁が絞れるが、出来上がるワインの量がわかっていないとSO2添加量も補糖量もわからない(ここから先は栽培家の私の「領分」ではないので割愛する)。
■収穫終了の祭りの喧燥
さて、「収穫終了!」となるとたいていの蔵は門に花飾りをする。
畑からぶどうを積んで戻って来る最終トラクターも花で飾られ、収穫人達は雑草等々で「仮装」をし、「雄叫び」を上げ、クラクションをビービー鳴らしながら村の中を1周する。
もちろん夜は「お祭り」。ラテン民族はたとえ蔵の従業員であれ、祭りとなると「翌日の仕事」のことなんか考えない!
あの美しい、歴史と伝統しか感じないようなブルゴーニュの小村、その村の蔵からは「テクノ音楽」が明け方までガンガン聞こえてくる。なぜなんだ、で、ある。
では、今回はここまで!
実は次回は発酵管理真っ最中ですので、忙し過ぎたら投稿を休ませてもらう予定です。あらかじめお断りをし、ご容赦をお願いしたいと思います。
【4.CHAMBRE DE OENOLOGUE】 (醸造家の部屋)
白ワイン造りの基礎その1
文章:天川夕香子
皆さんこんにちは。いよいよブルゴーニュでも収穫が始まりました。
今回は皆さんに2回に分けて白ワインの発酵をご紹介します。
ご存知の方も多いと思いますが、ここで簡単に赤ワイン、白ワインの造り方基本形のおさらいを……(あくまでも基本形です。個性あふれる造り方をしている人はたくさんいますのでご了承を)。
■赤ワインと白ワインの醸造の方法の違い
●赤ワインは黒ぶどうを使います。その醸造の方法は:
除梗・破砕→開放容器で発酵→圧搾→熟成
●白ワインは白ぶどうを使います。その醸造の方法は:
除梗なし→圧搾→密閉容器で発酵→熟成
赤と白では順番や容器が違うのが分かりますか? 以下で解説しますね。
■除梗
さて、どうして赤ワインは除梗(ぶどうの実を茎からほぐすこと)をするのに、白ワインは除梗をしないのでしょう?
赤ワイン造りでは、皮も果汁も一緒に漬け込んで発酵を行います。黒ぶどうといっても黒いのは皮だけで絞ったジュースは透明です。ですから果汁も果皮も一緒に漬け込んで発酵しないと赤い色にならないんです。
そして、その時に茎も一緒に漬け込んでしまうと、茎に含まれる望ましくない成分がワインの中に抽出されてしまいます。ですから赤ワインでは除梗をするのが一般的なんです。
白ワインは圧搾した果汁だけを発酵するので透明な色になります。
赤ワインと違って発酵の時に果皮などを漬け込む必要がないのです。ですから最初に除梗しなくても、茎の成分がワインの中に抽出されないのであまり問題にならないのですね。
もうひとつ。茎はプレス機の中で果汁が流れるのを助ける働きがあります。
みなさん、プレス機を植木鉢と想像してみてください。砂を詰めたときと石を詰めたとき、どっちが水遣りに便利でしょう? やっぱり石ですよね。石と石の隙間から水が流れ落ちます。
プレス機の中の茎は、実はこの石と同じような役割を果たします。ぶどうの実と実をギュウギュウにくっつけずに適度な隙間を作ってくれるのです。
■破砕
さぁ、いよいよ収穫果がドメーヌに入ってきました。トラクターからぶどうを降ろしています。降ろした先には何やら巨大なネジのような形の機械が! これは破砕機です。
ブルゴーニュでは一般的に白ぶどうも破砕(ぶどうの皮に切込みを入れること)します。圧搾機にかけなくても自然に果汁が流れ出すのを助けるためです。この自然に流れる果汁のことを le jus de goutte(雫のジュース)といい、プレス機で得た le jus de presse(プレスジュース)よりも高品質になります。
また、自然に果汁を流れ出させることによって、その後の圧搾の圧力を控えることが出来るという効果もあります。
■プレス=圧搾
破砕された収穫果は、次はプレス機に入れられます。
上から見ていると、なんだか「うぐいす餡(つぶ入り)」にそっくりです。ふと大判焼きが食べたいという郷愁にかられます。
プレス機に入れた後、圧力を加える前に雫のジュースが流れ切るまで待ちます。雫のジュースは果汁全体の60%から70%を占めます。この間、酸化防止のため、一番最初の二酸化硫黄添加をします。
「雫のジュース」が流れきったらプレス機スイッチオン。「ぶどう搾り」に入ります。
写真はここ数年で急激に広がった空圧式プレス機です。横型タンクの中に風船が入っていて、膨らんだ風船がぶどうを圧搾してゆくタイプで、途中タンクが回転してぶどうを「ほぐしては圧搾、ほぐしては圧搾」を繰り返します。
圧搾の圧力が低めで、澄んだ果汁が得られるのが特長です(圧力を強くして絞ると、造り手にとって不益な成分まで抽出されてしまうからです)。
特に圧搾にデリケートさが要求される白ワインに向いているといわれています。このプレスによるジュースは果汁中の30%から40%を占めています。
写真は圧搾後の白ぶどうの茎とぶどうの皮です。
空圧式プレス機は圧力が均等に緩やかにかかるので、熟した収穫果だけを圧搾し、固くて未熟な収穫果はそのままで残ります。優れものです!
プレスジュースはステンレスタンクに移され、先に移されていた雫のジュースと混ぜ合わされます。
タンク内上部と下部では成分構成が異なるのでよくかき混ぜてから瓶に取り、成分分析に出されます。潜在アルコール度数、総酸度、pHを調べて補糖をするかどうか等の判断材料にするのです。
今私がこれを書いている時点では、この成分分析の結果待ちです。アルコール発酵の続きはまた来月にご報告します。
追伸:ところで、写真をようくみると、あのモンラッシェの名手、シャサーニュ村のドメーヌ・ラモネの分析サンプルだということが読めますでしょうか? そうなんです、今回私が収穫を手伝ったのは、実はラモネさんのところなんです。
うぐいす餡に見えた写真も、実は、あのラモネの偉大な白ワインのできる瞬間ってわけなんです。
醸造学生の私は毎年収穫の時期になると、こうして色んな生産者のお手伝いをしながら、お勉強も兼ねているんです。
【あとがき】
今月もサテライト・パリに、最後までお付き合いありがとうございます。 早く21世紀初のワインたちに巡り合いたいですよね!
この文章を書いている今だって2001年の収穫がどんどん進んでいます。
となると、やっぱり待ち遠しいのが11月解禁の新酒・ボジョレーヌーヴォー! でも、パリでヌーヴォーが解禁になるのは、時差の関係で日本より7時間遅れなんです。
「本国にいるのに何でー?」なんて思っちゃいますけど、フランスでは輸送賃がない分、日本の半額くらいで飲めるんだから、良しとしちゃってます(笑)
10月に入って、パリもこれから寒くなってきます。 皆さんもワインをしっかり飲んで風邪なんか吹き飛ばしちゃってくださいね!
いづみ






