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あっという間に12月です。クリスマスの照明に明かりが灯るのと同時に、本格的な冬がやってきたようで、畑では葉が全て落ち、とっても寒そうです。 でも、街中はクリスマス・プレゼントを求める人で店内はどこも熱そう。2002年も後わずか、風邪を引かないようにガンバルぞ! |
【目次】
1.赤丸急上昇中DOCモンテクッコ
2.第2回サローネ・デル・ヴィーノ
3.ヒロ・サカテの「ミラノの街角から」
4.今月のトピックス
・トスカーナワインは味も値段も一流?!
・オリーヴの木で盆栽が流行中
・フィレンツェの美味しいケーキ屋さん
【1】.赤丸急上昇中DOCモンテクッコ
モンテクッコというエリアをご存知ですか?
モンテクッコなんて、かわいらしい名前のエリア。今回は以前から気になっていたこのエリアをご紹介しましょう。
エリアはブルネッロ・ディ・モンタルチーノとモレッリーノ・ディ・スカンサーノのエリアのちょうど真ん中にあたります。
晴れた日にこのエリアの一番の高台に登ると、二つのエリアを眺めることが出来ます。フィレンツェからのアクセスはチェルトーザICからA1高速道路に乗りシエナまで進み、その後223号線でグロセット方面に進みます。
右手にStrada del vino Montecucco(モンテクッコ・ワイン街道)の標識が見えた二つめの角、パガーニコ(Paganico)方面の標識のあるところを右折してモンテ・アミアート(Monte Amiato)方面に進むと、もうそこはモンテクッコの生産地域です。
■まずは歴史のお勉強から
初めに、モンテクッコという名前は今回訪問するワイナリーモンテクッコから来ています。
更にさかのぼるとこの小高い山にはオーヴォロ(Ovolo)という種類のキノコがたくさん生えていて、この種類のキノコのことをクッコと呼んでいたので、クッコのたくさんある山「モンテクッコ」と呼ばれるようになったといわれます。
このエリアも肥沃な大地としてエトルリア人が住み着いていたマレンマ地区の延長上にもあたるため、ぶどう栽培ははるか昔から行われていました。
それが1700年代になるとちゃんとしたぶどう栽培が始まり、その後1960年代にフィレンツェの富豪であるナポリ家が趣味の狩のために別荘としてこの土地を購入します。
後の67年に本格的ぶどう栽培をはじめ、これが現在のDOCモンテクッコとして認められる元となりました。1982年にこのエリアはでのDenominazione di Geografica(現在のIGT)として認められ、1998年にDOCモンテクッコとなるのでした。
ぶどう栽培の歴史は長く、DOC昇格までとても時間がかかったのは、すでにシエナとグロセットの間の領土争いがあったからです。シエナ側はブルネッロを産出するモンタルチーノの延長として評価し、グロセット側は肥沃な大地であるマレンマ地区の延長として、両者ともこの土地を我が物にしようと譲り合いませんでした。
最終的には地理的にはモンタルチーノと同じ丘陵地帯に属する土地ながらも、行政的にはグロセット県の一部とされました。
■さてワインの話に戻りましょう
ここは西に広がるティレニア海より30キロから50キロほど離れていて、東側にはアミアート山がそびえています。だから海流の影響を受ける海洋性気候となっています。
そして山から吹き降ろす風邪によって常に乾燥し夏でも過ごしやすいくらいの温度を保つことが出来ます。また土壌はスケレートロと言われる砂礫岩と砂の土壌で標高310メートルから320メートルの小高い丘となっています。
※スケレートロに付いては Firenze016 をご参照下さい。
エリアの真ん中には、丘から流れ出た雨水のまるで配水管のようにオンブローネ川が流れています。
さてこのエリアから造られるDOCワインは4種類です。
モンテクッコ・ロッソ (サンジョベーゼ種60%以上)
モンテクッコ・サンジョベーゼ (サンジョベーゼ種85%以上)
モンテクッコ・ビアンコ (トレッビアーノ・トスカーノ種60%以上)
モンテクッコ・ヴェルメンティーノ (ヴェルメンティーノ種85%以上)
赤の2種類にはそれぞれリゼルヴァ・タイプが認められていて、最低2年間の熟成、その内18ヶ月は大樽にて熟成させなければいけません。モンタルチーノに近いからといって、決してサンジョベーゼ・グロッソ種を使っているわけでもありません。中には使用している生産者もいると思いますが、DOC的には通常のサンジョベーゼ種となっています。
■ステファノさんのご案内で
こんなエリアの中から、今回は先にも名前が出ましたがワイナリー・モンテクッコを紹介しましょう。案内してくださったのはモンテクッコ・ワイン協会の会長も勤めていらっしゃるステファノさんです。
最初に教えて頂いたのが、その土地の位置でした。北にモンタルチーノ、南にスカンサーノ、西にティレニア海、東にアミアーノ山があり、これだけ条件がそれっていれば良質のぶどうの出来る気候、土壌は完璧です。
このような土地に彼らは690ヘクタールの土地を所有していてぶどう畑は約40ヘクタールとのこと。残りはほとんどがオリーヴ畑になっていて、ごくわずかですが自家農園もあるそうです。
「ワインがあって、オリーヴオイル、野菜があるなら、足りないのはパンだけですね!」と冗談を言うと、なんとその昔敷地内に本当にパン屋さんもあったそうです(笑)。
その昔この小さな集落には60人ほどの人が住んでいて、学校もありステファノさんはそこの小学校を卒業したそうです。現在はワイナリーと教会しか残っておらず、住民も10人程度しか住んでいません。
醸造所、熟成庫はとてもきれいに保たれていて、建物自体は1700年に造られたものをそのまま使い、床だけを新しくしたのだそうです。
オリーヴの製造方法も鉛筆型の遠心分離機は利用せず、石臼で潰した後プレスして搾り出すタイプです。ステファノさんに伺ってみると、昔ながらのやり方を残していきたいからとのことでした。
彼が紹介してくれたワインは3種類。
モンテクッコ・ロッソにあたるパッソナイア(Passonaia)
単一畑のサンジョベーゼ種100%で造られるレ・コステというモンテクッコ・ロッソ
レ・コステと同じ畑の良質なサンジョベーゼ種だけを使って造ったリゼルヴァ・タイプ
の、3種類でした。どのワインもとても味わいに果実の濃縮度の高さを感じ、ぶどうのレベルの高さを感じさせます。
■ステファノさんに今後のこのエリアについて少し聞いてみました
「現在このエリアには瓶詰めまで行っている生産者は15社、2、3年の内に後4、5はは増える予定になっています。小規模生産者もいますが、大手生産社も少なくないのでこれからまだまだ開拓されていきますよ」
いやはや、なんともここのエリアも目が離せなくなってしまいました。
「ワイン造りで一番大切なことは?」 と言う質問には、 「畑」 の一言!
帰りがけにもう一度畑をゆっくり見てみると、なるほどきれいに植えられた垣根つくりでした。
次回は畑が青々としている時にもう一度来てみたいなぁと思いながら、なだらかな丘陵地帯を帰ってきました。
【2】.第2回サローネ・デル・ヴィーノ
11月22日から25日の4日間ピエモンテ州トリノでサローネ・デル・ヴィーノが開催されました。言ってみたらワインの博覧会のようなものです。
イタリアには4月にヴェネト州のヴェローナでもヴィーニ・イタリーと言う博覧会が毎年開催されていますが、このトリノの博覧会は今年がまだ2回目です。
第1回目だった去年はピエモンテ州のワイナリーがほとんどで、約500の生産者しか出展しませんでした。
もともとワインに携わる生産者や醸造家、インポーターやジャーナリストといった専門家が情報を交換しながら、契約などの商売をしようという専門家向けの博覧会として始められました。
今年は出展社の数も2倍以上になり約1200に膨れ上がりジャーナリストも世界中から600社が集結。壮大です。去年から始められたこの博覧会に参加したのは自分も今年が初めてでした。
最初は博覧会の趣旨も分からず、生産者とどのように接したらいいかも分からず、少し戸惑いましたが、今回は落ち着いて会場を一周。
以前このコラムで紹介したワイナリーの方たち(ワイナリー・ペルティマーリFirenze014号、ワイナリー・カステッロ・ディ・ポッピアーノFirenze018号)を発見し、テースティングを重ねるうちすっかりほろ酔いムードで普段なかなか話ができないピエモンテ州の生産者の方たちと話ができました。
■今年のテーマは2つです
1つ目はワインと料理。イタリア国内外からFredy Girarde、Joel Robuchon、Charlieなど5人のシェフが呼ばれていました。これからの料理の行方とそれに伴うワイン。
2つ目のテーマはワインと経済。一般的なワイン市場と、その経済を銀行マンや経済界の方たちによって議論されました。
会場にはワインの出展者だけでなくイタリアの有名バリック生産者、葉巻業者、コルク業者、ワインセラー業者とワインとそれを取り巻く文化のさまざまな業種の方たちが出展されていました。
■それでは少しだけイタリアワインに関する数字を……
2001年のイタリアは輸出量世界第一位で1560万ヘクトリットル、25億8000万ユーロ(約3000億円)分がイタリアから世界各国へ輸出されました。
輸入国第一はアメリカで5億3500万ユーロ(約615億2500万円)分を輸入しました。ついでドイツ、フランス、スペインと続きました。
一方イタリアが輸入したのはフランス、スペイン、ドイツのワイン。
ヴィーニ・イタリアよりもまだ知名度が低く専門性が高いせいか、参加者もそれに比べると少なくそれぞれの出展者とゆっくりと話ができました。それでも日曜日は結構な人手で近い将来、イタリアワインの重要な一つの博覧会になる気配がたくさん漂っていました。
【3】.ヒロ・サカテの「ミラノの街角から」
この時期、メールを書くときに、必ず雨や霧の話題で始まります。朝慌ただしく身支度を整える間もテレビからは雨や霧による渋滞や事故のニュースが流れ続けています。
ときには都市の機能を麻痺させるほどの集中豪雨が起こることもあり、今年も街の一部分が水に浸り、電線を使うバス、トラム(市電)、メトロ(地下鉄)をストップさせなければならず、急きょガソリン車のバスをまわしても全てをまかなえるはずもなく、また、路線はめちゃくちゃに変わってしまい、大混乱が起きました。
怒鳴りあう喧嘩腰の車の運転手と、交通整理のためにいるのだけれどかえって混乱を助長している警察官。ここまで辿り着くのがどんなに大変だったかをバスの乗客全員に聞こえるほどのボリュームで語る婦人。お馴染みのバールでもひとしきりこの話題で盛り上がります。
イタリア人の御国柄のひとつをそのまま目にできるのを、こんな状況ながら笑って見てしまいます。いまだに泥だらけの広場を晴れた日が続くまで手付かずでいるしかないのが残念です。
側壁に大掛かりな鉄骨が据え付けられて、随分大掛かりな工事をしているのだとは気が付いていたのですが、最近になってとんでもない事実が分かり、ミラノ・スカラ座について手後れの大議論が巻き起こっています。
なんと、幕より舞台側の部分がすでに"何にもない"のです。写真や映像でもよく出てくる客席部分はもちろん、舞台や裏方の部分も歴史的に大変な価値のあるところだったので、ヘリコブターによる空撮のスクープ映像が見せた、まるで爆弾でも落ちたかのようにぽっかりと建物に空いた穴は、ショッキングなものとして、そして怒りを持って視聴者に伝えられ、次の日の新聞でも大きく取り上げられました。
歴史的建造物の老朽化はイタリアでは大きな問題であり、であるからこそレスタウロ(修復)の技術は研究も続けられ絶えずその新しい技術が取り入れられてきました。
ローマ帝国時代から続く歴史の断片の数々を、誇りを持って大切にしてきたイタリアらしからぬ出来事に驚かされるとともに、今までも政治的な思惑の元にたくさんの前例がある事も知りました。
たとえば現在は車の環状線として機能している大通りはもともとナビリオ運河というドゥオモ(大聖堂)の大理石をはこぶための運ぶための運河をムッソリーニ政権の時代に埋め立ててしまったものだし、ドゥオモから続くヴィットリオ・エマヌエレII世通りも元々は違う名前で呼ばれていたものから急に当時のミラノの王の名前に変わったりしたのだそうです。
ミラノ中央駅も現在はアール・デコ様式の興味深いものですが、確かに随分痛んで修復の必要は皆の知るところです。それを内装だけですが、近代的な改装を加えてしまう事が決定していて、なんとかこのスカラ座の悲劇をきっかけに考え直してくれるといいのですが……。
ごく最近、スフォルチェスコ城を半周かこむ大通りに街頭が設置されて、夜でも明るくより安全に、そしてヨーロッパらしい雰囲気を楽しめるようになりました。もちろん一人歩きはオススメしませんが、ライトアップされたスポットがまた一つ、楽しみが増えました。
【4】.今月のトピックス
・トスカーナワインは味も値段も一流?!
・オリーヴの木で盆栽が流行中
・フィレンツェの美味しいケーキ屋さん
■トスカーナワインは味も値段も一流?!
この度イタリア全国的に、エノテカ・イタリアーナ・ディ・シエナ、イタリア醸造家協会、イタリア各州、各ワイン協会の協力によって、高品質ワインの存在のアピールとイタリアワインの世界へ向けてのプロモーションを目的とした、イタリア優秀ワインが発表されました。
優秀ワインは全部で695種類、内517種類がトスカーナ産の物でした。
4年前の同じ調査ではトスカーナワインは52%しかこれに当てはまらなかったそうですから、近年のトスカーナワインの流行は消費者だけでなく生産者の中にもあるようです。
この発表を前後して近年のトスカーナワインの価格の上昇率が発表になりました。キャンティ・クラシコに限るならば赤ワインが健康に良いニュースなどとあいまって2000年から2001年にかけて価格が大幅に上昇していて、これに輪をかけて今年の天候不順によって更に価格が跳ね上がった模様です。
少し細かく見てみると、成長が順調だった6月期などは価格はあまり跳ね上がりませんでしたが、4月後半の遅霜と特に天候が不順だった夏に価格が跳ね上がったそうです。
高くて美味しいのは当たり前。
安くてもおいしいワインを探すのはますます難しくなりそうです。
■オリーヴの木で盆栽が流行中
日本の文化の一つである盆栽が世界的に有名になってどの位の時間が経つのか分かりませんが、オリーヴの木を使った盆栽が流行りそうです。
もともと緑豊かな国イタリアも、近年街に住む者にとっては庭付き一戸建てを持つのは難しくなっています。必然的にアパートやマンションに家を構える人が多くなりました。
それでも、自分だけの緑が欲しいと思い立ち盆栽を始めるイタリア人が増えています。
一つとして同じ物が出来ず、その成長過程を楽しみにすると言う盆栽の真髄はそのまま受け継がれているものの、オリーヴの木を盆栽にしてしまうのは、やはりお国柄といえるのではないでしょうか?
■フィレンツェの美味しいケーキ屋さん
イタリアでパスタというと、小麦を練って作ったものはピッツァを除いて全てそう呼ばれます。
バールなどで売られるクリームやチョコレートのかかったパンもパスタといいます。
このパスタ、フィレンツェのバールと言うバールに必ずといって良い程売っていますが、最近専門家によりフィレンツェ市内の高品質、職人的パスティッチェリア(ケーキ屋さん)が公表されました。
発表されたのは13店舗で、美味しいのは当たり前で店舗が清潔、そして見栄えも職人の技と呼べるものを販売している所として選ばれました。参考までに今回選ばれたお店の名前をお知らせしましょう。
Badiani
Buscioni
Dei
Feroci
Giorgio
Laquale
Lucarelli
Marisa
Meridiana
Minni
Rivoire
Ruggini
Selmi
旅行で立ち寄ったお店はありましたか?
それはそうと、「これらを選んだ専門家はチョコレート好き、クリーム好きなんていうえこひいきはまったくしていません」なんていう但し書きがありました。
こう書かれるとなんだかせっかく選ばれたお店のありがたみもなんだか減りません?
【あとがき】
ヒロ・サカテさんも書いていましたが、今年のイタリアは本当に異常気象です。
秋の長雨とはいえ、本当に嫌になるくらい雨が続きベランダのバジリコ君たちも北風にではなく溺れ死にそうです。空いてる鉢にチューリップの球根を植えたのですが、球根はおぼれませんよね……あ、そうだ今年もこの号が最後ですね。
皆さん、体に気をつけてよいお年をお迎えくださいね!!
それでは、2003年1月号でお会いしましょう!






