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さあ、2002年もいよいよ折り返しです。トスカーナ州は沢山の緑に溢れ、ぶどうたちも元気一杯につるや葉を広げています。
ベランダのバジリコくんたちも、日焼けしそうなくらい強い日差しの中で元気に成長しています。6月から猛暑が始まっているフィレンツェ、7月号です。 |
【目次】
1.月の満ち欠けが収穫のポイント、ワイナリー「ペルティマーリ」
2.ヒロ・サカテの「ミラノの街角から」
3.今月のトピックス
・トスカーナの畑から
・コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリのピコリット種
2003年までにDOCG?
・7月にイタリア旅行を考え中の方に……
4.ソムリエ協会で勉強すること ―原産地呼称制度―
【1】.月の満ち欠けが収穫のポイント、ワイナリー「ペルティマーリ」
■ワイン造り100年の歴史を持つ、ペルティマーリへ
今回は、モンタルチーノに足を伸ばしてみましょう。モンタルチーノですから、やはり車が良いですね。
フィレンツェ・チェルトーザICから緑が豊かになってきたスーパー・ストラーダに乗ってシエナ南まで進み、そこから一般道〈43号線〉でモンタルチーノに向かいます。
今回訪問するワイナリーは100年の歴史を持ち、ワイン造りは今や4代目に世代交代しようとしている「ペルティマーリ」。
43号線からモンタルチーノの標識を右に入り、右手にたくさんのワイナリーの案内が出ている角を入っていきます。そこからいつまで続くのかと思うほど砂利道を進み、道が細くなり、行き止まったところにワイナリーがあります。
ワイナリーの現オーナーは3代目のリヴィオさん。二人の息子のルチアーノさんとロレンツォさんもワイン造りを手伝います。リヴィオさんのおじいさんが約100年前にこの地に移り住み、ぶどうの栽培を始めました。
彼らはぶどうの栽培だけでなくオリーヴ栽培、自家菜園、そして鶏なども飼っています。根っからのモンタルチーノっ子のリヴィオさん、子供の頃からブルネッロに囲まれて育ちました。この日もランニング姿でぶどうのつたを針金に結ぶ作業の合間を縫ってワイナリーを案内してくれました。
■赤いカプチーノ
実はリヴィオさんとは4年来の知り合いで、ブルネッロの試飲会のたびに世間話をしながらワインを飲ませてもらっていました。
「どうしてリヴィオさんはいつも赤ら顔なのだろう? 畑で仕事を沢山しているからかな?」
と不思議に思っていましたが、この日その秘密が分かりました。
彼は朝5時に目を覚ますとすぐに畑に行き、ぶどうの生育状態を確かめ、9時に朝食をとるそうです。その朝食とはパンと生ハムと赤いカップッチーノだそうです。そう、赤いカップッチーノとは、ブルネッロ。
1日を通して朝昼晩と食事ごとにブルネッロを飲みます。1日1本のブルネッロを飲むことが健康の秘訣だとか。
かつてリヴィオさんは一度からだの調子がすぐれず、お医者さまにかかりました。でも、そのとき処方された薬ではあまり効果が得られなかったため、いつも通りのこの朝食に戻したところ、すぐに体調が戻りました。以来この生活を続けているそうです(いやはや、うらやましいというかなんというか……)。
■ワイナリー、ペルティマーリについて
このワイナリーはモンタルチーノの街の北側に位置し畑は母屋を中心としてすり鉢状になっています。南西向きの日当たりが一番良く、標高の高いところにブルネッロ種、反対にすり鉢の一番低いところには白ぶどうが植えられていました。
彼らのスーパー・トスカーナ用のカベルネ・ソーヴィニヨン種は、白ワイン用ぶどう畑から少しだけ上のところに植えられていました。100年前にこの地に移り住んだ時は5ヘクタールほどの敷地で農業を営んでいたそうです。現在では30ヘクタールを越す、けっして大規模とはいえないまでも、中規模の生産者となりました。
ブルネッロは法的熟成期間として収穫の次の正月から4年間熟成させなくてはならず、うち2年間は木樽の中で熟成させなくてはなりません。
この2年のうち、伝統的な造り手は大樽を使用し、新しいタイプの造り手は小樽も使用しますが、リヴィオさんは根っからの伝統派! ブルネッロの熟成は全て大樽で行います。フランス産の小樽はスーパー・トスカーナのみに用いられます。
■バイオ・ダイナミック
樽の使い方の説明を受けているときに、急に月のお話になりました。通常、大樽の上の部分にはワインの液面と中の状態を簡単に見られるようにガラスの筒が刺さっています。この筒は2重構造になっていて、あいだに水が入っており、この水が外気を遮断してワインの酸化を防ぐようになっています。


この筒を見上げていた時にリヴィオさんが、「筒のワインの液面は、月の満ち欠けによって変わります。そして収穫も満月の日に行うようにしているのです」
え? 何のこと言っているのだろうと思わず聞き返してしまいました。
樽の中の液面は海と同じで、満潮の時は液面が上がるそうです。収穫に関しては満月の日がぶどうの糖度も一番高くなるのだそうです(はてさてその根拠もちゃんと説明していただいたのですが、古代ローマの話や神話まで飛び出してきて理解不能、かろうじて満月に収穫を行うということだけが理解できたのでした……)。
このことをバイオ・ダイナミックといいます。
■リヴィオさんのコレクション
熟成庫、最後の見学は彼らがワインを造り始めた頃からのワインの保存庫です。
壁一面にレンガで造られたワインセラーが並び、その中からリヴィオさんが取り出した1本は1925年のものだとか……。戦前のものでした。よく見るとエチケットの張られていない色々な形の瓶がありました。
昔はガラスの瓶がとても貴重なものであったため、ローマに勤めに出ていたリヴィオさんのおじいさんが、空き瓶を見つけるとそれをこっそり持ち帰り、それにワインを詰めていたそうです。だからボルドータイプやブルゴーニュタイプなどに詰められたワインがあるのでした。
■いよいよ試飲!
さて、お待ちかねの試飲です。全試飲アイテムはオリーヴ・オイルを含む全5種類でした。
最初は「ロッソ・ディ・モンタルチーノ2000」です。しっかりした果実味にブルネッロらしいスパイシーさが混じる、さわやかな1本でした。
続いてスーパー・トスカーナの「フィーリ・ディ・セータ」です。ぶどう品種はサンジョベーゼとカベルネ・ソーヴィニヨンの混醸で、小樽で1年ほど寝かせたものです。
やはりカベルネ・ソーヴィニヨン種が入ると味わいが全く変わります。とても濃縮した印象、渋みもしっかりとしてスーパー・トスカーナ好きにはたまらない1本でしょう。
続く「ブルネッロ1997」は春の試飲会のときにも試飲しましたが、その時よりもさらに落ち着き、1997ヴィンテージのバランスのよさをしっかりと感じることが出来ました。リヴィオさんが言うにはまだまだ飲み頃には遠いが、すでにバランスのよさは感じることができ、向こう10年がとても楽しみなワインとのこと。
そして「ブルネッロ1995リゼルヴァ」です。すっかりワインは調和が取れていて、1年長い樽の熟成が全体を丸くひとつにまとめ、さらに熟成感が出て来ていて、この日試飲した中で一番いま楽しめるワインとなっていました。
もちろん、このワインもまだまだ保存がきくということ、先に見学した地下のセラーをふっと思い出してしまいました。
最後にオリーヴ・オイルです。トスカーナのピリッとした酸味はそれほど強くないのですが、香りもしっかりとしていて、夏の太陽が思い浮かぶような滑らかなしっかりとしたオリーヴ・オイルでした。
規模は決して大きくはないものの、100年の経験とリヴィオさんの哲学でつくられるブルネッロは家族の気持ちがとても感じられるワインでした。
【2】.ヒロ・サカテの「ミラノの街角から」
期間中、熱烈な盛り上がりをみせた Korea / Japan ワールドカップ、皆さんも御存じのようにアッズーリことイタリア・チームは誤審疑惑の残る後味の悪い結果となってしまいました。
また、韓国サポーターの応援に中傷的な内容の応団幕など不快なものがあり、一部の人たちの行いが、ヨーロッパ内での韓国に対する印象を悪くしてしまったのは本当に残念に思います。
ミラノでも記録的な猛暑は同じ、連日40度を超える気温にすっかりバテ気味です。既にこの暑さだとこの先どうなってしまうのでしょう!?
早ければ既に、ヴァカンスにでかけた話も聞こえてきます。
近年人気なのはイタリアの西側に位置するサルデニア島やギリシャなどですが、トスカーナ地方でのアグリツーリズモも予約をとるのが困難なほどです。
このアグリツーリズモとは、元来、農業や畜産のお手伝いを泊まり込みで体験するものだったのですが、現在は大自然のなかのホテルとしての機能と、その土地のとれたての食材で作られた料理を堪能できるというスタイルもそう呼ばれるようになりました。
1週間以上の宿泊から受け付けるのが普通で、小さい小屋をひとつ丸一軒借りて、仲の良い数家族で食事を交代で作って楽しんだりするところもあり、少しでも安く、という理由からも人気です。
その絶景の宿を拠点に周辺の小さな街を巡って、そこの食材を買ってきて、というのがまた格別の楽しさなんですね。
友人は他の人たちより「ちょっぴり」料理が上手だったために「手伝ってね」という言葉とともに、ほとんどの日を「手伝う、というよりほとんど自分が作っていて、ワナにはめられたようだった」とぼやいていました。
7月の早い時期であれば、スカンジナビア半島のスウェーデンやノルウェーでは1日中太陽が沈まない白夜も体験できるし、南仏やスペインのカナリア諸島も注目されています。
ちなみによくヴァカンスが長くていいねぇと言われますが、働くときと休むときをはっきり区切って楽しむときは楽しむ、というスタイルがあるからなんですね。
北イタリアでは働く人はちゃんと仕事していますよ。
7月9日よりバーゲンも始まってにぎわっています。まだまだ7月末まではチャンスも沢山残っていますから、慌てないで!
8月中お休みしてしまう(早いところはそれ以前から)店もたくさんありますが、ミラノやフィレンツェ等の観光地ではあまり心配しなくてもいいかもしれません。
……とはいってもレストランは長いお休みを取るところがほとんどですから、いく前には必ず確かめて見ることをおすすめします。
【3】.今月のトピックス
・トスカーナの畑から
・ピコリット 2003年までにDOCG?
・7月にイタリア旅行を考え中の方に……
■トスカーナの畑から
6月の中旬から、まるで2ヶ月飛ばしたように真夏日がやってきてしまいました。この暑さでぶどうは例年よりも多少早めに成長が進んでいるようです。
6月初旬の段階でモンタルチーノでは例年並か10日から2週間ほど早い成長でしたが、この暑さでキャンティ・クラッシコのエリアもずいぶん成長が進みました。
いよいよ7月が終わるとヴァカンスの月になりますのでヴァカンス前の一仕事という感じで、ぶどうのつるの調整やワイナリーの増築、改築などを行っているところも一層熱が入っているようです。
■コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリのピコリット 2003年までにDOCG?
コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ協会のイヴァナ・アダミ氏は向こう2年のうちにピコリットをDOCGに昇格させる運動を本格的に開始しました。もともと95年に一度運動をおこそうとしたところ、このワインに対するデータがあまりにも足りなく、この数年でデータを集め今回の運動開始に至りました。
アダミ氏は、「ピコリットは世界に通用する甘口ワインであり、コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリのエリアの20%に植えられていて、生産者の量より質と言う意識を考えるとDOCGに昇格させるべきだ」といっています。
現在、年間500ミリリットル瓶で約30万本生産されています。
■この7月イタリア旅行を考え中の方に……
まず嬉しい情報から、4年間の修復作業からウフィッツィ美術館に隣接するホテル・デッリィ・オラーフィ(エルミタージュ)の修復が終わり、映画にも登場したことのある「眺めのいい部屋」が復活しました。
6月22日から7月末までモンタルチーノの街でPino Zac(ピノ・ツァック)のオペラが市の集会場(ブルネッロの試飲会もかつて行われていたところ)とワイナリー・バンフィで行われています。
また、ワイナリー・バンフィでは11日から21日まで「モンタルチーノ・ワインとジャズ2002」が平行して行われています。
続いて、あまりツーリストの皆さんには嬉しくない情報です。
ミケランジェロやガリレオの墓をはじめ、美術的にもフィレンツェの中でも重要度の高いサンタ・クローチェ教会の見学が有料になります。大人一人3ユーロ(約360円)、子供一人2ユーロ(約240円)です。
次にフィレンツェの夜、瓶の持ち歩きが禁止になります。
もともと公営プールの周りにガラスの破片が落ちていると危険だからというのがもともとの理由でしたが、この法律が街全体に行われるようになります。レストランの帰り道、記念ボトルを裸で持ち歩くのはやめるようにしましょう。
最後にスト情報です。
イタリアに遊びに来て、ストにあって困った方はたくさんいることでしょう。今回のストは「労働法改正18条」にまつわるもので、いくつかありますので注意しましょう。
・7月11日
高速道路のガソリンスタンドでは給油が出来なくなります。
・7月12日
団体客以外の飛行機利用が12時30分から16時30分のあいだ利用できなくなります。
・7月19日
ローマの航空管理官がストを行うためにいくつかの小さな航空会社が運休します。
・7月24日
船のストです。船で移動を予定中の方は注意と確認を怠らないようにしましょう。
【4】.ソムリエ協会で勉強すること―原産地呼称制度―
ヨーロッパが統一通貨(ユーロ)になって、早くも半年が経ちました。ヨーロッパ内で換金をしなくてもどこでも同じ通貨で買い物が出来るようになって便利になったり、その反面、イタリアなどの国では物価の上昇が問題になってきたりと色々です。でも、統一されたものはこれだけではありません。
食品の分野でもヨーロッパ内で原産地保護をするための決まりごとが出来てきています。さらに最近は地方の伝統を見直し、ゆっくり土地本来の食事を楽しもうというスローフード運動も盛んになっています。今回は色々な地方の特産品保護のお話です。
ワインの世界にはAOC、DOCG、AVAなどワインの品質とその産地を保護する原産地呼称制度というものがあります。今回は平たく言ってしまうと食品に関する原産地呼称制度ということになります。
今まで紹介してきたサラミなどでもありましたように、イタリアではいくつかの原産地呼称食品というものがあります。
・D.O.P
Denominazione di Origine Protetta
デノミナツィオーネ・ディ・オリジネ・プロテッタ
・IGP
Indicazione di Geografica Protetta
インディカツィオーネ・ディ・ジェオグラフィカ・プロテッタ
というふたつがあります。
このふたつの違いは、D.O.Pは原産地呼称保護制度の意味で材料はもとより、製造から出荷までひとつのエリア、地方、街でなされなければなりません。
一方I.G.Pは、生産地名保護という意味になり、全ての行程がそのひとつの地区で行われる必要はありません。その代わりその記載されている地方でどの生産過程が行われたかがはっきりと記載しなければなりません。
そしてD.O.PとI.G.Pを名乗るためには製品に必ず記載されなければならない事柄があります。
・製品の名前
・原材料、その他の材料と使用された薬品
・正確な地域名
・原材料が得られた正確な地域
・生産者の所在地
・D.O.PもしくはI.G.Pの表記
イタリアにおいてはこれらの原産地呼称にあたる製品はそれぞれのその製品の協会が管理していますが1998年1月より輸出されるものに関しても管理するように決められました。
現在イタリア国内で認められているD.O.Pチーズは31種類、生ハムなどの加工肉が14種類、野菜がサンマルツァーノ種と言うトマト、オリーヴ・オイルが約15地域認められています。
一方I.G.Pにはヴァルッテリーナ村産ブレザオラなどの加工肉、オレンジやクリなどの果物、サルコーニ村産の白インゲンなどの野菜、ボルゴトーロ村産のきのこ、大麦やお米も地方によって認められています。
さらに全ヨーロッパ共同体内において認められているイタリアのD.O.P特産品としてはパルミジャーノ・レッジャーノとラルド・ディ・コロンナータが認められています。
日本でこれらの製品を買う時には、エチケットのところにD.O.Pと書かれているかどうか確かめましょう。
【あとがき】
イタリアチームが日本から帰国して10日も経とうとしているのに、テレビではワールドカップの反省会が行われています。取っ組み合いにならないのが不思議なくらい、けんか腰で行われる討論会はイタリア人の国民性? それともこの暑さのせいでしょうか?
それにしてもイタリアの夏は本当に街中楽しい雰囲気で満たされています。海や山へヴァカンスに行かなくても、街のあちこちで色々な催し物が行われています。
また、夏の間だけ行われるオープンテラスのバール、映画やディスコ(死語ですかね? でもイタリア語ではディスコテーカって言うんですもん!)も色々行われています。
貴重品はホテルに置いてフィレンツェの夏のナイトスポットに繰り出してみませんか。