


6月です。ベランダに2002年バージョンのバジリコもすっかり根付きました。これからじゃんじゃん成長していくことでしょう! 春に「今年の夏は4年ぶりのエルニーニョ現象」とニュースが流れていましたが、どうなることやら。4年前のフィレンツェは30分おきにシャワーを浴びていたような気が……。 【目次】 1.キャンティ・クラシコの土壌博士「カステッロ・ディ・アーマ」 2.ヒロ・サカテの「ミラノの街角から」 3.今月のトピック ・トスカーナ畑情報 ・夏のフィレンツェ・オペラ情報 ・キャンティ・クラシコエリアがますます旅行者に開放されます! 4.ソムリエ教会で勉強すること―お米編―
【1】.キャンティ・クラシコの土壌博士「カステッロ・ディ・アーマ」■キャンティ・エリアをドライブさあ今月も新緑豊かなキャンティ・エリアをドライブしましょう。目的地はエリアのちょうど南に位置するラッダ・イン・キャンティ。今回はフィレンツェの南側から始まるキャンティ街道をまっすぐ南下してみましょう。 このキャンティ街道はキャンティ・クラシコ・エリアの真中を走っていて、街道沿いにはゴルフ場、レストラン、ホテルなどがぶどう畑の中に混じっています。 フィレンツェを出るとすぐにキャンティ・クラシコのエリアに入り、フィレンツェの隣町であるガヴィナーナの街を過ぎると急に山道に。以前紹介したグレーヴェ・イン・キャンティ、パンツァーノ・イン・キャンティを抜けて、一路ラッダ・イン・キャンティ方面へ進みます。 目的のワイナリーは「カステッロ・ディ・アーマ」。ラッダ・イン・キャンティは小高い丘の上にある小さな街ですが、キャンティ・クラシコの雰囲気を存分に満喫できるところです。街にはワイナリーが出しているエノテカやレストランなどが行儀良く並んでいます。ワイナリー訪問前の腹ごしらえをこの街で済ませるのもいいかもしれませんね。 「カステッロ・ディ・アーマ」は街に入らずそのまま進み、カステッリーナ・イン・キャンティ方面に進みます。街を抜けたすぐの二股を左に坂を下りそのまま道なりに20分ほど進んだところにあります。
■カステッロ・ディ・アーマ到着!
(でもやっぱりいました。見学の途中で出てきました、しかもとっても大きい犬が……) ワイナリー・カステッロ・ディ・アーマの歴史は、1972年に4つの家族の共同経営によって始まります。1993年に代理管理人を立て、醸造を除くワイナリーの運営を含む全てのことをロレンツァ・セバスティさんに任せます。醸造等の指揮は1982年よりマルコ・パッランティさんが務めています。
■ちょっと歴史のお勉強、カステッロ・ディ・アーマについて文献によると、このカステッロ(城)の歴史は998年にこの集落を要塞化されているので、さらに千年さかのぼらなければなりません。11世紀、アーマ家は当時の文献にひきつけられ、この土地の一部を購入しようとこの地に足を踏み入れたのです。15世紀に城は度重なるフィレンツェとシエナとの戦いのため壊されてしまいます。そして1700年、当時のオーナーであるピアンジャーニ家とリウッチ家が、城の後を住居の形に修復したそうです。その後1972年に、それまでの生活を捨てて他のトスカーナのような生活スタイルとワイン造りを始めました。 彼らの総所有面積は250ヘクタールにものぼり、90ヘクタールが住居やワイナリー施設、オリーヴオイル精製所。ぶどう用の畑は120ヘクタール、オリーヴ用の畑が40ヘクタールとなっています。
ぶどうの栽培は一長一短では結果は出ませんが、彼らは自分たちの土地のぶどう「サンジョヴェーゼ」にこだわり、領地の中にサンジョベーセを試行錯誤しながら植えていきました。 その結果、サンジョヴェーゼに向かないとされる畑にメルローやピノ・ネーロを植えたそうです。現在の畑の60ヘクタールにはサンジョヴェーゼ、8ヘクタールが白ぶどう、残りの12ヘクタールにピノ・ネーロとメルローが植えられています。
■畑の次はワイナリー内へ
畑を説明していただいた後、醸造設備を見せていただきました。大きなコンピューターで完全に温度管理されたステンレス・タンクがニョキニョキと立ち並ぶ部屋で、隅に幾分小ぶりなタンクが置かれていました。
・研究のため別にモスト(果汁)を発酵させるもの ・白ワイン用のもの ・ロゼワイン用に先に薄く色づいたものを別に発酵させるためのもの とのこと。醸造所内はちり一つおちていないほど清潔に管理されています。 さらに先を案内していただきました。そこは小樽が永遠と並んでいると思ってしまうほど沢山ある薄暗い部屋。キャンティのエリアの伝統である大樽の姿が一つも見えないので、「大樽はないのですか?」と聞いてみると、熟成はすべて小樽で行うとのこと。
いくつかの部屋を案内していただき、最後に見せてもらったのがオリーヴオイルの精製所。 サテライト・フィレンツェVol.007 でオリーヴオイルについて書きましたが、通常自社でオリーヴオイルの精製を行うと割高になるために、精製はフラントイオと呼ばれる共同の精製所に持ち込むのが普通です。 しかし、ここでは「自分たちの製品は最初から最後まで自分たちで責任を持ちたい」ということで、敷地内に最新式のフラントイオを造ってしまったそうです。決して大きくはありませんが以前取材した抽出機と同じしっかりとしたもの。やっぱり当然のことながら、次回はオリーヴオイルを造っているときにも来て見たいなあと思ってしまいました。
■最後はテイスティング。長い歴史のある建物の試飲室でワインをテイスティングさせていただきました。サンジョヴェーゼというぶどう、キャンティ・クラシコというワイン、そしてこの土地へのこだわりをしっかりと教えていただいた後にテイスティングしたワインが、おいしくないわけがありません。
「80年代は畑の研究、90年代は畑ごとのぶどうの生育とワインの出来栄えの研究、これからは全ての畑から最高のぶどうだけを使ったスーパー・キャンティ・クラシコを造っていきたいですね」 とのことでした。 彼らのこだわりと情熱をしっかりと感じつつ、ワインのもしっかり楽しめられて何だかちょっと得した気分になれたドライブでした。
【2】.ヒロ・サカテの「ミラノの街角から」■ミラノのワールドカップ事情例年なら汗ばむような陽気のこの頃、この間までは急な気候の変化でセーターがいるほど寒かったのに、その後気温も一気に急上昇して早くも夏のよう。休日には半袖・半ズボンで出かける人たちも沢山見られるようになりました。 日本でも盛り上がり真っ最中のワールドカップですが、もちろんヨーロッパでも大変な盛り上がりです。面白いのは清涼飲料水を始め、サラミなどの食品まで日本への観戦ツアーキップ・プレゼントのキャンペーンをやっていて、ラジオで盛んにコマーシャルが流れていたのも記憶に新しいところ。それだけでなくコマーシャルに本当によく日本語や韓国語が聞こえてきたり、小ネタにつかわれたりして、それがまた愉快に笑わせてくれるのです。 女の子がコミカルに歌う 「ローマの日本人の女の子♪、スズキの車に乗ったら♪♪、イタリア人の恋人も見つかって♪、トクしちゃったわー♪♪」 なんて、聞いたとたんに吹き出してしまいそうなものから(これはイタリア語で歌っています)、トレヴィの泉に観光にやってきた日本人グループが街が空っぽなのに驚いていると家の中がやかましいのに気づいて、窓から覗くとイタリア人はみんなテレビに釘付けで観戦していて、それを写真に撮る連中にむかって「ちゃんと送ってよー」とイタリアおばちゃん。 こんな風にテレビCMにも登場しました。 観戦といえば、時差の関係でこちらではちょうどお昼ごろに放送されることになりますが、スポンサーになっているとあるデザイン事務所はホームページ上で、「会社にテレビを買って試合中はお仕事をお休みしましょう」というキャンペーンを始めて話題になりました。気になって仕事が手に着かないから、という理由ももっともらしく、もちろん大がかりなジョークだったのですが、なんだか本気で受け取った人もあながちいないでもないかもしれません。 数人の友人はすでに小型テレビを買って準備していたし、店頭によく目に付くところを見ると結構売れているのかもしれません。きっと何らかの理由を付けて外回りに出てしまう人も、結構いるんじゃないかとにらんでいます。
■こんなところにも日本の波が以前ご紹介した、地下鉄モンテナポレオーネ駅前アルマーニ・ビルの中にあるジャパニーズ・レストランNOBUでは、ハッピー・アワーをもうけて連日にぎわっています。ちょっぴり敷居の高いスポットに、カクテル一杯の値段で、しかもお寿司をつまめるとあって、沢山の人がつめかけて、7時頃には一杯になってしまうんだとか。 ジャパニーズ・フリークで日本企業で働くために15年間ものばし続けた髪の毛をばっさり切ったのを面白おかしく語ってくれる友人も、足繁く通っているようですよ。
【3】.今月のトピック■トスカーナ畑情報
2、3月の初春に降るはずの雨が降らなかったので、「ぶどうの成長サイクルを狂わしてしまうのではないか」という懸念もありましたが、遅霜の被害もなく、4、5月にまとまった雨に恵まれました。例年並もしくは例年以上に良い作柄に恵まれています。 モンタルチーノは特に成長が進んでいてこのまま天候が収穫まで続けば97年並みのヴィンテージになるかもなんていう噂もあるほどです。一方キャンティ・エリアはモンタルチーノほどではありませんが、こちらも現時点では例年並の収穫量、質が見込まれています。
■夏のフィレンツェ・オペラ情報
今年の目玉は2演目、トスカーナ出身の作曲家プッチーニの「トスカ」とイタリアの統一にも作曲で貢献したと言われる作曲家ヴェルディの「リゴレット」の2本。 フィエーゾレという街はエトルリア人がフィレンツェに降りてくる前に住んでいたところで、この人たちが花の咲き乱れるこの場所を英語のFlower(フラワー)にちなんでFlorence(フローレンス)と名付け、丘から花の都に移って行ったと言われています。 オペラの簡単な内容を少しだけご説明します。 「トスカ」は歌と恋に生きる女を中心にした3角関係の悲しい物語、一方「リゴレット」は恋をした女の弱みに付け込む男から、その女を守ろうとする父親が引き起こしてしまう悲劇のお話です。 7月にフィレンツェにおこしになる予定のある方は、こんなフィレンツェの夜の楽しみも予定に入れてみてはいかがですか? トスカ:7月10、12、16、18、20、23、25日 リゴレット:7月11、13、17、19、24日 インターネットによる予約は http://www.charta.it
■キャンティ・クラシコエリアがますます旅行者に開放されます!キャンティ・クラシコ地域の8つの市町村が、旅行者のために販売促進を行うことにしました。キャンティ・クラシコのエリアにはワインのほかにサラミや生ハムはもちろん、たくさんの自然に溢れています。 この地には、ドイツ、スイス、ノルウェー、フランス、アメリカ、カナダなどの外国から多くの旅行者が訪れ、経済活動の大きなシェアを支えています。今回のこの協力体制は、この経済活動をさらに活性化させようというもので、アグリツーリズモやワイナリーなどが一体となって行われるようになりました。 キャンティ地区に遊びに来る際にはこのような、より楽しみやすくなったキャンティの味わいをぜひとも楽しんでみてください。
【4】.ソムリエ教会で勉強すること ―お米編―今回は日本人に一番親しみの深い食材であるお米がテーマです。日本のお米に対する考え方と一致するところもありますが、調理方法なども合わせて紹介します。 お米は毎年収穫され、世界中の人間を一番養っている穀物です。イタリアではロンバルディア州、ピエモンテ州、ヴェネト州でその多くを生産しています。 イタリアの精米方法も日本とそれほど大きく変わりません。収穫されたモミを掃除をした後、脱穀にかけ精米します。 精米の時点で米の精米の状況をよくチェックして、特に形の良いものはRizo Camolino(リゾ・カモリーノ)にするために、つやだしと亜麻の油で色と香りをつけます。またこのチェックで外れてしまったものは滑石やグルコースの粉を加えてさらに磨き上げます。この粉を入れることによりお米本体のでんぷん質を損なうことなく磨くことができます。こうして出来上がったお米はRiso Brillato(リゾ・ブリッラート)と呼ばれます。 さてお米の栄養素は上に挙げたような精米方法によっても異なりますが、80%がでんぷん質となっています。他のほとんどの栄養素は脱穀、精米の時点で失われてしまいます。ちなみにもみの状態で持っている栄養素はプロテイン、脂肪、リン、カリウム、カルシウム、ナトリウム、ケイ素、鉄分、マグネシウムさらにビタミンも持っていますが、これらのほとんどは精米されるときにほとんどなくなってしまっています。 精米において重要なのは「でんぷんを得る」ということです。お米の持っているカロリーは100グラムに対して360キロカロリーです。 イタリアではもともとこれだけ多くの栄養素を持っている穀物は、できるだけ栄養素を失わずに調理することなども研究されています。この方法のことをRiso Parboiled(パルボイルドゥ:なま茹で法)と言います。 まず、収穫して掃除だけしたモミを使用します。これを水にしばらく浸した後、蒸します。モミが残っていることによって、中の栄養素は全て逃げ出さずに残ります。また、脱穀だけしたお米を使っても通常の方法より栄養素の残り方は違います(但し加熱は20分くらいが限度となっています)。 この方法で用意したお米は色は透明感のある濃い目の黄色で、つぶがはっきりします。また普通のお米でこの方法を行うことをPrecotto(プレコット)とも言います。 さてお米の種類を分けるには、お米の大きさや形、でんぷん質の含有量で分類されます。イタリア国内には大きく分けて2種類のお米があります。1つはイタリア国内で得られるJpaonica(ヤポニカ)と言う系列と、アジアで収穫され輸入されているindica(インディカ)と言う系列です。ヤポニカは形から4種類に、またインディカは2種類に分けられます。
調理法法によってお米も使い分けてみてはいかがでしょうか。イタリアのお米の調理法をお教えします。 【 イギリス式】5倍くらいの水で10〜20分(お米の種類によって時間は変わります)ゆでます。
【リゾット式】油やバターでいためたお米に溶いたブロードを足していき、ちょうど良い硬さになるまで煮ていきます。
【蒸し式】1時間ほど水につけたお米を蒸します。
【ピラフ】いためた米に約2倍の水分(ブロードなどが溶かされていても良し)を加えて、180度で約18分ほどオーブンで火を通します。魚や肉料理の付け合せとして最高です。 さてお米の保存方法ですが、米を食い荒らす寄生虫に注意し、またあまりお米どうしが削りあったり傷つけあったりしないように注意します。 風通しが良くて涼しくて乾燥しているところに、虫が入らないような容器に入れて地面には直接おかずに保存しましょう。イタリアでは真空パックになったお米を見ます。これらのことを知ってみると真空パックはお米同士が削りあわないし虫も入らないので、保管にはもってこいですね(最初見たときにはちょっとビックリしましたけど)。 日本はこれらのことは伝統として知っていることですね。 お米の料理といえばリゾットです。先にも書きましたがピエモンテ州もお米の有名なところ。そこで、今回はピエモンテのノヴァラ風パニッシャ(インゲン豆の入ったこの地方のリゾット)に合わせてみましょう。 使う食材はお米に人参、ズッキーニ、インゲン豆などです。リゾットの作り方にそってお米をいためて、ブロード(ブイヨン)を入れていくお料理です。 ですからいつもの表にあわせていくと、ほとんど均等な三角形になりそうですが、ブロード、野菜、お米があるので食材の甘味が強くなります。 そうすると酸味がややあり、渋み、アルコールも感じられるワインが良さそうです。同じピエモンテ州のドルチェット・ダルバなんていかがでしょうか。 前回、今回と2回に分けて穀物のお話をしてきました。次回からは少し地方の伝統料理についてご紹介していきたいと思います。お楽しみに。
【あとがき】 ヒロ・サカテさんのコラムにもありましたように、ワールドカップが始まりました。ついさっき(6月8日)イタリア対クロアチア戦がありました。なんと結果は優勝候補のイタリアが1対2で負けてしまいました。なんとも残念です……。 でもまだ予選リーグ、明日は日本対ロシア戦です。気持ちを入れ替えて応援しますよ!!
また他の鉢にはやはり去年出来た種から芽を出したしそ達が元気一杯に増えていました。今年のバジリコニュースもお楽しみに! (本当に楽しみにしている人はいるのだろうか……) |
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