


【目次】 1.20世紀1番のヴィンテージ1997年のモンタルチーノ・ディ・モンタルチーノ 2.ヒロ・サカテの「ミラノの街角から」 3.ソムリエ協会で勉強すること「料理合わせ第4回 ―サラミ・ハム編―」
【1】.20世紀1番のヴィンテージ1997年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2月15、16、18日の3日間。トスカーナ州で「100年に1度の良年」と言われるブルネッロ・ディ・モンタルチーノ1997の発売前の試飲会、 「アンテプリーマ ―ベンヴェヌート・ブルネッロ2002―」 がモンタルチーノの街で行われました。
現在ブルネッロDOCGの全面積は2800ヘクタール、ワイナリー所有面積(ブルネッロ協会に登記されているもの)は1800ヘクタールで、ぶどう栽培用の畑が1450ヘクタールとなっています。この日の報告からワイナリーの規模をとその割合を紹介しましょう。
ワイナリー規模がわずか100ヘクタール以上は1社のみとなっています。3ヘクタール以下の小規模生産者が半分以上、つまり、「質が良ければ規模に関わらず常に希少価値が生まれるところ」でもあるのが分かります(質が高いからいつでも品薄なのですが……)。
参加生産者数は107です。毎年のことではありますが、一度にこれだけのブルネッロを試飲できるのは嬉しいのですが、たとえ注がれたワインを全部飲み干さないとしても、やはり体力的には厳しい試飲会になります。いつもヘトヘト、フラフラになって帰ります。その上、今回は100年に一度の良年と言われていたため、全ての生産者が果実味と渋み中心のワインの質の高いものを造り、ワイナリーごとの比較がとても難しい、「100年で一番過酷な試飲会になるのではないのだろうか」と想像していました。 ところが実際に試飲してみるとそんなことはありませんでした。酸味がとても心地よくバランスが良いものが多く、長熟にもしっかり耐えうるだろうと思わせつつ、今飲んでもとっても美味しいものばかりでした。 さらに皆、質が高く、評価しにくいなんていう懸念もよそに、造り手は良年だからこそ色々なことにチャレンジしているような印象を多く受けました。例えばブルネッロの中には更に4種類の兄弟があり、そこに注目してその中の一つだけを選んでそれだけでワインを造ってみるなどなど。
この決して安いとはいえない価格が、畑の潜在能力を引きだし、かつ期待にこたえるというワイナリーの宿命を果たしているヴィンテージでもあるようです。
■気になるブルネッロ2001年ヴィンテージは!?さて、ここまで97年ヴィンテージについて書いてきましたが、今回は2001年のブルネッロ協会の正式収穫情報も発表されました。 もちろん97年は5つ星満点ですが、2001年ヴィンテージもそれにはかないませんでしたがしっかりと4つ星を獲得。97年以降連続して良年が続いているトスカーナですが、この2001年に関してはただの良年ではなく、これからのブルネッロの将来の可能性を示しています。 このことを協会長のFilippo Fanti(フィリッポ・ファンティ:ワイナリー・サン・フィリッポ・ファンティ・オーナー)さんは、 「この評価は自分たち生産者と協会がブルネッロというワインの価値とそのイメージを慎重に守り、将来を約束することが出来るようになった大事な一つの結果」 と発表しました。 2001年のモンタルチーノ地区の総収益は1億3000万ユーロ(約150億円)にも上り2000年を9%上回り、協会長の自信をこの数字が顕著に表しました。 このように飛ぶ鳥を落とす勢いのブルネッロですが、会場ではエノテカやレストランのオーナーたちからの「高すぎる!」との声もよく聞きました。 余談ですが、今回の会場は市内の要塞の中にある特設テント内で行われました。「今までの市の集会場の方が赴きもあり良かったのに」なんていう声も多く、会場関係者に聞いてみたところ、 「来年以降もこのような会場での試飲会になる。整理券無しでの入場もやはり規制するようになっていくだろう」 との見方でした。自分も消費者の一員とすれば、この値上がり方はブルネッロが自分からちょっと遠いところに行ってしまったような感じもします。 それでは最後に今回発表されたいくつかのデータをお知らせしておきましょう。
■モンタルチーノ2002年発表データ1.モンタルチーノ・ワイナリー所有総面積:2800ヘクタールそのうちワイナリー所有面積1800ヘクタール
2.ワイナリー数:210そのうち瓶詰めまで自社で行っているものは141
3.ワイン生産量/総ワイン生産量:約1200万本そのうちブルネッロ500万本 ロッソ・ディ・モンタルチーノ300万本 サン・タンティモDOC(白、赤、ヴィン・サント)100万本 モスカデッロ(甘口)10万本 IGTモンタルチーノ(スーパートスカーナを含む)300万本
4.主要輸出先:海外64%アメリカ22% スイス13% ドイツ11% カナダ3.5% その他14.5%
イタリア国内36% トスカーナ4% その他の中央および南イタリア5% 北イタリア7% モンタルチーノ内19% (そのうち10%がワイナリーでも直売)
【2】.ヒロ・サカテの「ミラノの街角から木々の青々とした新芽がいっせいに芽吹いて、心地よい風が枝を揺らせて、市電の窓から見える風景がいきいきと変化していきます。冬には濃い暗色系の服装を好むミラネーゼも、春らしいさわやかな色彩を取り入れて楽しんでいます。 ■復活祭毎年日程の変わるパスクワ(復活祭)ですが、今年は今月末になります。クリスチャンの重要な行事であるこの前後、日本のゴールデン・ウィークのような感覚で1週間ほどのお休みになるので、心待ちにする人も多いのです。 プレゼントの入っている卵形のチョコレートは知っている方も多いでしょう。大手菓子メーカーの製品は、僕たちが小さい頃に開けるのを楽しみにしていたグリコのおまけのようにポピュラーで、コレクターもいるほどです。でも、元々はこのパスクワの時に子供たちが楽しみにしていたものなのです。 昨年の出来事ですが、とある男性がエンゲージリングをこの卵に入れて恋人にプレゼントしました。なんと何も知らされなかったこの女性、カロリーの少ないタイプのものにお店で交換してしまったそうです。お店の方でもそんなことは知る由もなく、高価なプレゼント入りのこの卵、どこかへ売られて行方しれず。今頃はどこかの子供の指で輝いているのでしょうか。
■ミラノ国際家具見本市開催さて、4月になると毎年恒例のミラノ国際家具見本市(2002年4月10日-15日)が開催されます。元々はフィエラと呼ばれる見本市会場で開かれていたのですが、フォーリ・サローネと呼ばれる街中のインテリア・デザインショップなどを中心に催される個々の展覧会も企画されるようになって大変盛り上がります。 見本市会場では「モダン」、「クラシック」、「ライト」と、大きく3つにゾーン分けされ、大変大きいために普通に見ていくととても時間がかかってしまうので、好みのものをパンフレットで絞り込んで見るといいかもしれません。 また、「サテライト」と呼ばれる大ホールはこの部分のみ入場無料。個人の作家たちが出展しています。若手デザイナーの競い合う場として大変魅力的なものです。企業で活躍するデザイナーが、個人でこちらにも出していたりします。 そして、もっと楽しみなのがフォーリ・サローネです。街中のいろいろなスペースを工夫してプレゼンテーションするので、古いレンガの物置の雰囲気をそのままに、モダンな家具を配置して独特の雰囲気を出したり、カラーリングを施して他ではあり得ない異空間を演出したり。メインの家具だけでなくその「場」としてのプロデュースがとても面白いのです。 また、各々が企画するカクテルタイムも魅力のひとつ。夕方にはこれらのハシゴでちょっとした腹ごしらえをしながら、とにかく沢山の会場を巡ります。深夜のダンスタイムを企画するところまであるんです。 近年はアルマーニなどのファッションメーカーも展示会を企画して、斬新なプロジェクトが雑誌などで取り上げられることも多かったので、目にした方もいらっしゃるのではないでしょうか。アルマーニは姪っ子が建築家であることも力を入れている理由かもしれないし、今年は安藤忠雄設計の彼らの美術館がオープンして最初のサローネなので、どんな企画で盛り上げるのか興味はつきません。 これらのフォーリ・サローネの情報はすべて無料で配布される小冊子で得ることが出来ます。INTERNI(インテルニ)というインテリア雑誌の企画するもので、各会場前には小冊子と共通のデザインで目印が出ていますし、そこで手に入れることができます。 加えて、毎日同様に配布されている新聞によってその日のイベント情報も写真付きで紹介されるので今まで知っていたグループ・会社以外の新しいものを見つけるには役立ちます。 規模が大きくなってしまっただけに、前年の良作品に似たアイデアが出回るのも現状ですが、世界中から集まるだけに、その文化背景を感じさせる作品に出会ったり、一昨年から日本人を中心としたグループで活躍しているところもあったりと、今年も期待度「大」です。 実際に見に来られない方は数ヶ月後にインテリア・デザイン雑誌などで特集が組まれると思いますので、ぜひチェックしてみてください。誌上でもとっても興味深く読めること請け合いです。 ついでに言うと、ブランドの店が軒を連ねる有名なモンテナポレオーネ通りの端に昨年竣工したアルマーニ・ビルはその建築、内装、そして併設されるカフェ・レストランなどもガラス・強化プラスチック・ステンレスを多用してとてもカッコよく仕上がっていますし、ヴェルサーチは建物の古さと木材をモダンに使いそのバランスが素晴らしい。靴のカンペールは和風のイメージを取り入れて話題になったり、大聖堂横のアーケード内のプラダは地下の古い倉庫の雰囲気をそのままうまく利用して独特の店舗になっていたり、と商品だけでなく店舗内装に特に力を入れているのもミラノです。 お買い物の合間にちょっとだけ目線をずらしてみてくださいね。
【3】ソムリエ協会で勉強すること「料理合わせ第四回 ―サラミ・ハム編―」 ■お肉のお話今回は肉の話です。肉といってもひれ肉やロース肉とはちょっと違う、サラミやハムのお話です。イタリアではこのような加工肉のことをSalume(サルーメ)、そしてこれらを販売する店のことをSalumeria(サルメリア)と言います。 加工肉は通常赤身の部分と白身の脂肪分からなり、だいたい100グラムで300-500キロカロリーあります。栄養素的には種類によっても異なりますが、熟成のために必要な水分が25-50%、脂肪分が25-30%、そしてたんぱく質、その他が12-35%となります。 加工肉はイタリアでは数百年にわたって生産されてきたため、とても多くの種類があります。一言で加工肉といっても、サラミや生ハムなどだけでもとても細かい分類分けが複雑になっています。
■簡単に分類分けしてみましょう。1.生加工肉系 ■ひき肉を使うものサルシッチャ(イタリア風ソーセージ)、一般にサラミと呼ばれるもの
■赤身の肉を塩漬け、熟成させたものコッパ(豚ロースで造られたハム) ブレザオラ(牛のハム) 生ハム スペック(豚肉や羊肉に火を通さない程度に燻製させて造ったもの)
■脂肪分が赤みよりも多いものラード パンチェッタ(ベーコン) グアンチャーレ(豚ほほ肉)
2.火を使った加工肉 モルタデッラ(大きなソーセージ、唐辛子やピスタチオなどが入ります) プロシュット・コット 火が入るまで燻製したサラミ 上のように大きく分類されたものたちも、地方によってたくさんの種類があります。例えば生ハムだったら日本でも有名なパルマやサン・ダニエーレと言ったもの。さらにこのような加工肉を、国内はもとより海外のものとも違いを与え、分類しやすくするためにも法律で定められていることがあります。 ・胡椒は香り付けとバクテリアの活動を弱めるために使用すること ・塩はバクテリアの活動を抑え熟成の期間を延ばすため、製品に塩気を与えるため ・糖分(乳頭や粉末乳、0.4%以下でなければならない) ・酸は変色を防いだり脂肪分の過度の酸化を防ぐためにアスコルビンン酸(ビタミンC)を加える ・ピスタチオ、ウイキョウや唐辛子の種は風味や味わいを良くするために使用する ・きれいな色合いを維持するために亜硝酸は使用すること と、決められています。
■それではサラミの造り方です一言でいってしまうと、肉を出来るだけ細かいミンチにして、豚などの腸に詰めて好みに乾燥させたり火を加えたりすればOKです。ミンチにする際、出来るだけ空気が入り込まないように細かくひき、詰めるときも同様に、空気が入らないようにとても慎重に行います。空気は劣化の元になってしまいますから。 種類別にもう少し詳しく説明しましょう。 赤身の原材料は一般的には豚肉か牛肉、もしくは両方と言うのが一般的。他にガチョウや猪などの肉も使用されることもあります。脂肪部分は一般的に豚のものが使用されます。赤身の部分の肉はいくつかの種類を混ぜることもあります。 まず、赤身の部分と脂身とをそれぞれ別々にきれいにし、ひき肉状にします。そしてスパイス類、ワイン、種などを加え、一緒に練りこみ、腸詰めして地下室などにぶら下げて乾燥させて、好みに熟成させて出来上がりです。 (乾燥させる部屋は10度以下で湿度が適度にあり、清潔でなければなりません)
■イタリアの代表的なサラミ
サラメ・ディ・ミラノは脂肪も細かく、ややあっさりしているのでルガーナ(トレッビアーノ種)の白ワインが合いそうです。 ブレザオラは牛かカモシカのもも肉で造られ、血抜きなどをして材料をきれいにした後、塩、胡椒、シナモン、丁子などを一緒に漬け込むので、脂肪分もやや少なく、肉の甘さも塩漬けしているために少なめで胡椒や塩気が中心になります。これは滑らかな香りが高い白ワイン、ピエモンテ・シャルドネ・IGTや、渋みが控えめで香りの高い赤ワインのバルベーラはどうでしょう。 このブレザオラは燻製したものもあり、イタリアでは生ハムは主に前菜にしか食べられないのに対し、前菜やメインディッシュのどちらにも登場します。 以前このサイトでも年末年始の料理として登場した(サテライト・フィレンツェ008)ザンポーネとコテキーノについてもう少し説明しておきます。 コテキーノは詰め物をしてから日を通します。中にはラードや皮などを詰め、そこに色々なスパイスを加えます。もともとはエミーリア・ロマーニャの食べ物で、ザンポーネよりも古くより食べられています。一般的にはポテトのピューレやほうれん草のバターいためレンズマメの煮込みなどと一緒に楽しまれています。 一方ザンポーネのオリジナルもやはり、エミリア・ロマーニャ。内容物はコテキーノとそれほど変わりませんが、丁子、ナツメグやさまざまなスパイスが加えられます。それらを混ぜ合わせた豚肉を豚の足の皮に詰め、70-80度の蒸気で軽く火を通して食べます。 これは保存食としても用いられ6ヶ月くらいはもちます。このザンポーネは生でも食べることが出来ますが、その場合は1ヶ月以内食べるようにしましょう。 もし、ワインを合わせるなら。 これらは肉の甘味、脂肪分がしっかり感じられるので発泡性の渋みがある程度あるワインなんかはどうでしょうか。ここでも同じ産地のものがいけそうです。ランブルスコやオルトレーポ・パヴェーゼなんてどうでしょう。
■さて生ハムです生ハムはイタリアの国中いたるところで生産されています。そんな生ハムの中で原産地呼称に認められているのが、パルマ産の生ハムとフリウリ州のサン・ダニエーレです。 原材料はもちろん豚の腿です。
まず工場に運び込まれた腿肉は血抜きなどの掃除をされた後、清潔な部屋で塩揉みされ、そして一度冷却されます。
そしてさらに塩を全体にまぶし、乾燥させます。その後、一度温水できれいに洗い、切り口に過度の乾燥を防ぐためにラード、小麦粉、塩、胡椒などを混ぜ合わせたものを塗りこんでしばらく熟成させます。
出来上がった生ハムの余計なところを取り除いてきれいにして出荷されます。 パルマとサン・ダニエーレの違いですが、パルマの生ハムはVia Emilia(エミリア通り)の方角へ南に進んだ約5キロから標高900メートルまでのパルマ県で生産されたものに限ります。 しかしながら、材料になる豚の腿肉はこのエリアのものに限られておらず、他にロンバルディーア州、ピエモンテ州やヴェネト州などの地域で取れたものも認められています。 脂肪部分は半分以下で、その重さが骨付きのものは8-9キロなくてはならず、7キロ以下のものは認められません。熟成期間は7-9キロのものに関しては10ヶ月以上、また12キロを超えるものに関しては最低12ヶ月の熟成が義務付けられています。 見た目は丸っぽく、色はやや淡い赤で、味わいはやさしく、デリケートで少し塩っけを感じ、香りが高いという特徴をもたなければなりません。 一方サン・ダニエーレはフリウリ州のサン・ダニエーレ村でしか生産が認められていません。腿肉は必ず10キロ以上、熟成期間も塩漬けから10ヶ月以上は熟成させなければなりません。 形はギターのような形で足先がついて、色合いはピンクから赤っぽく、白い脂肪が葉脈のように多少走っていなければなりません。味わいはやさしく香りは特徴的です。 それでは他の地域の生ハムを少し紹介しましょう。
料理は肉そのものと塩、それにスパイスの香りが気持ちよく感じられるます。肉には水分、脂肪分などもありますから食材の持つ甘味もあるはずです。いつもの料理あわせ表に当てはめてみると、左下が広いちょっと崩れた台形になりそうです。 これをそのまま、反対の形をイメージしてみましょう。 そうすると、スパイスの香りに合うくらい程よい香りを持ち、ミネラル分(塩っぽさ)の感じられるアルコールと酸味がやや感じられる赤ワインが良さそうです。 ハムやサラミと言えばエミリア・ロマーニャ州、もしくはトスカーナ州でしょうか? やっぱり土地の食材には土地のワイン、例えばコッリ・ピアチェンティーニ・ロッソやキャンティ・クラシコなんかがここでも合いそうですね。
【オマケ情報】■サテライト009(12月号)でお知らせした、新しく認定されたDOCGソアヴェ・クラシコ・スペリオーレは2002年ヴィンテージからDOCGに昇格するそうです。
あとがき 春が近づくと共に新しいヴィンテージが続々と発表されつつあります。いよいよ来月はヴィニタリー(イタリア版ワインエキスポ)です。 新しいヴィンテージのワインや、新しく生まれたワインなどをテイスティング出来る、年に一度のお祭り、いやいや仕事です。 今年は例年よりも少し遅く、4月11日から15日までの5日間。頑張って色々なワインと出会ってこようと思っています。このレポートは5月号ですね! 会場に来られる方で僕を見かけた方は、一声かけてくださいね。 それでは、また来月。チャオチャオ!! |

