


【目次】 1:今月のトスカーナの畑より 2:600年の歴史を誇るトスカーナ名門ワイナリー「アンティノーリ」 3:バスで行ける街「グレーヴェ・イン・キャンティ」 4:フィレンツェより街のトピックス ・イタリアから祭り情報 ・カルチョストリコ、日程またまた変更! ・最近はやりのヨーグルテリア 5:ソムリエ協会で勉強すること
1:今月のトスカーナの畑より■さあ、いよいよ収穫が始まりました! 収穫前に少し今年のヴィンテージのおさらいです。 トスカーナでは春は地域によって遅霜の被害を受けたところもありました。 5、6月の芽が吹く時期に霜が降りてそのため芽が落ちてしまい、副芽がでるまでの期間がぶどうの成長の一サイクルを遅らせるのでブドウの成熟状態を狂わせてしまうのです。 そのため、収穫量が減ってしまうのです。 キャンティではこの被害で、例年より平均して15%くらい収穫量が減ってしまっています。他に被害を受けたとされているのはモンテプルチアーノと海岸線のエリア(ボルゲリ地方も含む)です。 さらにキャンティ・クラシコでは8月中の雨が少なかったために、果実に十分な水分が与えられず、実が小さくなり加熟(水分が少なくなり実が小さく酸味が少なくなる)の傾向があります。 8月下旬、多くのワイナリーでは夏がいつ壊れるのかと躍起になっていました。 「夏が壊れる」というのは一般的にトスカーナ州(特にフィレンツェ)では8月は雨の降らない季節です。そこで8月中に雨が降ると雨が夏を壊すという表現を使います。つまり夏が終わり秋になるということなんです。 話が横道にそれました。 各ワイナリーではこんなぶどうを、いかに例年通りの自分たちの味わいにするかに腕の見せどころとなっています。今年も今から11月に発売されるノベッロが楽しみです。 一方で、8月末より白ぶどうの収穫も場所によっては始まっています。 9月に入り雷を伴った雨がありました。この雨により北のピエモンテ州では雹の被害がわずかですが出ています。トスカーナ州においてはこの時点ではサンジョベーゼ種は収穫まで約2週間ほどの猶予があったため何ら問題はありませんでした。 (収穫までまだ時間があったもののぶどうはしっかり甘くなっていました。え、何で知っているかって? そんなこと聞かないでください……) モンタルチーノはこんな雨をものともしない乾燥した気候を十二分に生かし、ぶどうは順調に成熟の一途をたどっています。でも、やはり収穫量はやや少なめ。質は中の上といったところのようです。
2:600年の歴史を誇るトスカーナ名門ワイナリー「アンティノーリ」■フィレンツェと言うと何を思い浮かべますか?この街に来て3年が経つ自分は、日本で生まれてから一度も引越しをしたことがないせいもありますが、自分にとってのフィレンツェは第二の故郷と言ったところでしょうか(気が付けばもう丸3年……)。 皆さんは、フィレンツェと言うと何を思い浮かべますか? 一般的には芸術、花の都、キャンティ、ドゥオモ、ポンテ・ヴェッキオ……などでしょうか。これらにすべて共通するものって何だと思いますか。実はこれらにはみんな、貴族が関係しているんです。 1400年代、ルネッサンスという美術の一大革命がありました。 この時期に遠近法などの絵画や彫刻の技法がたくさん発明されました。この発明を促進し、そんな芸術家を援助したのがフィレンツェのメディチ家という貴族です。 彼らはもちろん政治も行いました。 その頃よりメディチ家と友好関係をもっていたアンティノーリ家は、政治にも参加し、しかもワインも造る貴族だったのです。 ですから彼らの本拠地は実はフィレンツェなのです。 彼らのワイン・ビジネスは、1385年にフィレンツェ・ワイン生産者組合に参加してから始まりました(実はその前から彼らはぶどうを栽培しワインも生産していたのですが)。 その後、政治やワイン・ビジネスでさらに多くの富を築き、現在もあるPlazzo Antinori(パラッツォ・アンティノーリ:アンティノーリ宮殿)を購入します。現在は2、3階が彼らの家で、1階がCantinetta(カンティネッタ)と言うワイン・バーになっていて、中庭の奥が彼らの事務所になっています。 時代が流れるにつれ彼らはBadia a Passegnano(バディア・ア・パッセニャーノ)の土地やVillla Antinori(ヴィッラ・アンティノーリ:アンティノーリ別荘)などを購入していき、次第に本格的にワイン製造を中心に活動していくようになります。 ちなみにBadia(バディア)とは大修道院という意味で、Badia a Passegnano(バディア・パッセニャーノ)とはパッセニャーノ村の大修道院という意味です。 さらにこのアンティノーリ別荘はこの大修道院の一つ丘向こうにあります。 「古く長いルーツというのは、考え方にとってはとても重要な役割を果たすが、我々の新しいものへの挑戦しようという気持ちを妨げる」 と、26代目オーナーのPiero Antinori(ピエロ・アンティノーリ)はいつも心にとどめています。 彼らは600年前からキャンティというワインを造り(正確には600年前にはキャンティとは呼ばれていなかったと思いますが)、常にトスカーナのワインのリーダーでもあります。
■イタリアいちのワイン、サシカイア一時期、キャンティの名前さえ付ければ、味がたとえ良くなくても、世界中に売れてしまうときがありました。中身は本当のキャンティではなかったなんてことも。 これじゃあ、イタリア・ワインの信用がなくなってしまいますよね。そこで生まれたのがワインの名前に対して味わいを保証すると言う制度です。DOCGと言います。 そんなときにキャンティの名前を付けなくても、自分たちは世界に通用するワインが造れ売ることができる、と奮起して造ったテーブルワインがサッシカイアです。イタリアで一番と言っても良いほどのワインが造られました。 実はこのワイナリーのオーナーは、現在のアンティノーリのオーナーのピエロさんの弟なんです! さらにこのワインが造られた時は、ピエロさんは醸造設備などを持たない従弟を全面的に協力したそうです。 その後兄のピエロさんも、従弟に負けないようなすごいテーブルワインを造りました。Tignanello(ティニャネッロ)Solaia(ソライア)というワインです。 そしてこれらのワインは一気に世界中で有名になり、トスカーナ・ワインとアンティノーリの実力をみせつけたのです。 街と言っても修道院と彼らの酒屋、バールが一軒しかありませんけれど……。 でもトスカーナの景色を満喫できる優雅なドライブになること、間違い無しです! ですから今回はレンタカーを使いましょう。 街を出て緑色ののシエナ行きの高速道路の標識に従ってフィレンツェ・チェルトーザICから高速道路(SS1)に乗り、S.Donato in Poggio(サンドナート・イン・ポッジョ)で降ります。 ここからBadia a Passegnano(バディア・ア・パッセニャーノ)の標識に従って北東の方向に約20分ほど行くと左に丘を上っていく細い道があります。この道を登りきったところにBadia a Passegnano(バディア・ア・パッセニャーノ)の村はあります。 先月号でもお話しましたが彼らはこの修道院の地下を修道士から借りて熟成所にしています。修道士はアンティノーリに値上げを交渉中で裁判にまでなっています。 中には樽が所狭しと置かれています。 この修道院に向かって右側に彼らのエノテカもあり、こちらで彼らのワインは買うことができます。 こんな600年の歴史ある貴族のイタリアきってのワイナリーの訪問はアンティノーリ宮殿の事務所に必ず予約を入れましょう! (実は一度門前払いを受けて、木の間からのぞいただけで帰ってきたことがあるんです……) Tel:+39-055-2359849、Fax:+39-055-2359884 です。 ……………………………………………………………… ワインバーCantinetta Antinori(カンティネッタ) Piazza degli Antinori,3 Tel:+39-292234 Fax:+39-055-2359877 ………………………………………………………………
3:バスで行けるワインの街「グレーヴェ・イン・キャンティ」■グレーヴェ・イン・キャンティさあ、今回は以前にご紹介したパンツァーノの一つ前の停留所、まさしくキャンティ・クラシコのエリアの中心に位置するグレーヴェ・イン・キャンティに足を伸ばしてみましょう。 バスは以前紹介したパンツァーノ行きに乗ります。 以前のパンツァーノもそうなのですが、9月のこの時期になるとこの二つの街は広場でテイスティング会が催されます。 (このページがアップされる頃には残念ながらグレーヴェ・イン・キャンティのテイスティング会は終わってしまっていますが……) 今年は9月7、8、9日の3日間です。ちなみにパンツァーノの試飲会は翌翌週の21、22、23日になります。 この試飲会のシステムはまず受付で15000リラ(約750円)ほど払い、グラスを買います。後はそのグラスを持って飲みたいところのブースに言って「ワインを試飲したいのですけれど!」と笑顔で言えば、いくらでも試飲させてもらえます。 去年のこのグレーヴェの試飲会では142種類のワインが並びました! また何かしらの催し物も時間によっては行われているので要チェックです! さて話をこの街に戻しましょう。 街の中心のPiazza Matteotti(ピアッツァ・マッテオッティ)にはその広場を囲むようにワイングッズを売る店やサルメリア(サラミ屋さん)や当然エノテカ(酒屋)やレストランなどが立ち並んでいます。 この広場に並ぶMacelleria Falorni(ファロルニ肉店)は良質の自家製サラミをたくさん取り揃えてありますので、ここも要チェックです! さらにこの試飲会は年に一度しかありませんが、最近自称キャンティで一番大きいと名乗る「Le Cantine di GreveinChianti(レ・カンティーネ・ディ・グレーヴェ・イン・キャンティ)」というエノテカ(酒屋)ができました。 街の試飲会のように最初にお金を払うだけという訳にはいきませんが、常にこれだけのワインがテースティングできる場所はイタリア広といえどなかなかありません。こちらも要チェックです! もちろんボトルでも購入できますし、簡単な食事も摂れるようになっています。 さて、ここから歩いていけるワイナリーですが、Sagrona(サグローナ)やBelvedere(ベルベデーレ)などが比較的に楽に訪問できます。また根性のある方はQuerciabella(クエルチャベッラ)に挑戦してみましょう(徒歩で片道1時間と言うところでしょうか!?)。 ともあれ、ワイナリーを訪問される方は必ず予約を入れましょう! それでは以前にも紹介しましたがもう一度駅からのバス(SITA社)の時刻表をお知らせします。
ワイナリー連絡先 Sagrona(サグローナ) Tel:+39-055-853366 Belvedere(ベルベデーレ) Tel:+39-055-8544823 Querciabella(クエルチャベッラ)Tel:+39-055-853834
4:フィレンツェより街のトピックス■イタリアから祭り情報さあ食欲の秋がやって来ました。イタリア各地で色々なフェスタ(祭り)が始まります。 今回は9月中の祭りの主だったものを紹介しますね。 注1:問い合わせの番号はすべて国番号39が省略されています。 注2:すべての祭りが大規模とは限らず、ただの村おこしの場合もあるので注意しましょう……。
■カルチョストリコ、日程またまた変更!またまた古典サッカーの日程が変更になりました。 今回の決定が最後らしいです。でも何しろイタリアですから……。 9月22日青さんチーム対赤さんチーム、9月23日白さんチーム対緑さんチーム、29日にその決勝戦となります。
■ジェラートに続くのはヨーグルト!?この夏、日本と同じくヨーロッパでも猛暑が続き、エリザベス女王の100歳を超える母親が夏ばてで倒れたり、街の緑がいつも以上にダメージを受けるなど数々の被害も聞くほどでした。 横田も砂浜でついウトウトしたら、自分がフライパンでニンニクと一緒に炒められる夢を見て、あわてて飛び起きてしまいました。 こんなに暑いときに欲しくなるのは冷したスプマンテはもちろん、やっぱりジェラート! さらに今年、若者の間でも家族連れにもブームなのがフローズン・ヨーグルト。 ジェラート屋さんをジェラテリアと言うように、ヨーグルテリアと言う名が通るくらい専門店が増え、フィレンツェでも大聖堂の近くに行列を見かけます。 イタリアではドルチェなど甘党の中心にいるのは男性で、パリッとしたスーツを着こなしたビジネスマンが一人でジェラートをほおばっている姿も普通に見かける風景です。 それをいいことに木苺やブルーベリー、洋ナシ、メロンの果実ソースに、チョコレートソースなどこのブームはとどまるところを知りません。 通なものではギリシャのデザートに似せて、ヨーグルトの上に砕いたクルミとハチミツをかけたモノのフローズン版もやめられない。 このヨーグルテリア、ミラノやローマはもちろん各地で増殖中。見つけた時は迷わずお試しあれ!
5:ソムリエ協会で勉強すること■イタリア甘口ワインのお話前回グラッパと言う辛口食後酒のことを書きましたので、今回のこのコラムではイタリアの甘口食後酒の話を。 イタリアの甘口の食後酒で有名なものはシチリアのマルサラ、それからトスカーナのヴィン・サント(ヴィノ・サントともいう)や、これもシチリアのモスカート・ディ・パンッテレリアや最初は胃薬だったアマ-ロ、レモンのリキュールのリモンチェッロそしてフランスのソーテルヌのような各地の貴腐ワイン(と言ってもたくさんの地域で造られているわけではないのですが)などです。 ちょっと分類してみましょう。 マルサラというのは言ってみればイタリアのポートワイン、イギリス人によって、偶然発見されて造られるようになりました。 これは、ワインに同じぶどうから造られたアルコールを足すので、酒精強化ワインと言います。 (マルサラには甘口、辛口などいくつかの種類があります) 次にヴィン・サント(ヴィノ・サント)やモスカート・ディ・パンッテレリア、これらは陰干しワインとでも言いましょうか。 取れたぶどうをいったん干しぶどうにしてからワインを造ります。ぶどう中の水分を少なくして甘さを増やすためです。 アマーロはアルコールに数種の薬草や砂糖を添加したリキュールです。 われらがイーエックス・ワインの代表のだんな様が大好きなお酒の一つでもあります(笑)。 一方リモンチェッロ(リモンチーノとも呼びます)はこちらもレモンの皮をアルコールに漬け込んだナポリ地方のリキュールです。 最後の貴腐ワインはこれは自然のなせる業の一つ! 樹になったぶどうを収穫しないで放っておいて、性格の良いカビ(貴腐菌と言いぶどうを腐らせない)を付けさせます。 ……と言っても簡単に付いてくれるわけもなく、特殊な湿度やら気温などが必要なわけです。だからどこでもできるというわけではないのです。 表面のロウ分を分解して粒の中の水分を蒸発させ、同時に特殊な成分を生成するのです。 ですから干しぶどうワインに似てるといえば似ているのですけれど、大きな違いは自然にできるものと人間の手によってできるもの。当然、値段も味わいもまったく違います。 ただしヴィン・サント(ヴィノ・サント)やモスカート・ディ・パンッテレリアなどのワインにも干しぶどうになる最中にこのカビがつくこともあります。 さて、イタリアではみんな食後酒を本当に飲んでいるのかと思われる方も多いと思います。 基本的にイタリア人の家などに食事に行くと必ず勧められます。 トスカーナに住んでいるとトスカーナの食後酒であるヴィン・サント(聖なるワインと言う意味ですけれど)をコレクションにしている方も中にはいます。このヴィン・サントにアーモンドの入ったちょっと固めのビスコッティーニ(フィレンツェではカントゥッチとも言います)を浸して食べるのが一般的です。
■リモンチェッロは家庭でも良く造られています作り方は1リットルの飲料用アルコール(95度以上)、シチリア・レモン(やや大きめで皮がとっても厚い、そして新鮮なものが好ましい)、砂糖、アルコールと同量の水です。まずアルコール500ccにレモン5個程度の皮の黄色い部分だけを2〜5日色が出るまで漬け込みます。 次に水に200-300グラムの砂糖を溶かします。甘くしたいときにはたくさん入れましょう。溶けないときには少し火にかけても良いかもしれません。 最後に薄黄色になったアルコールと砂糖水を合わせてなじませたら出来上がりです。 後は冷凍庫で保存してください! とっても甘くてアルコールが高いのでキンキンに冷やして飲みます! アマーロはもともと胃薬として造られました。それが現在では食後酒になりました。もともと胃薬だったのですから食後の消化を助けるのにはばっちりです。レストランなどでもグラッパ、リモンチェッロに続いて人気のある食後酒です。 日本のレストランにも多くの食後酒が置いてあると思います。こちらでは満腹でおなかがくるしい時に強いお酒を飲むと胃がビックリして消化を始めると言います。 一度ケーキも食べられないほど満腹の時に試してみてはいかがですか?
【あとがき】 今月のサテライトフィレンツェいかがでしたでしょうか? 夏の間は遅い時で夜の10時くらいまで長かった日が、次第に夜の訪れが早くなってきます。冬から春にかけての日が長くなりウキウキするよう感じとは反対でなんとなく寂しさを感じさせます。 でも、夜が長くなれば食事もゆっくり、お酒もゆっくり、寝るのもゆっくり!? これからが秋本番です。たくさん飲んでたくさん食べて、イタリアの満喫方法を続け紹介していきますのでお楽しみに。 それでは、Ci Vediamo mese prossimo!!(チ・ベディアーモ・メーゼ・プロッシモ) また来月お会いしましょう! Ciao! |

