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【次のワインへの準備】
話はとんで、ベージュの1周年記念ディナーパーティーでのこと、ジェラール・マルジョンがソメラリで試飲をしながら、準備をしていました。少し納得いかなそうな顔をして。
ワインはすべて日本側で決めたものでした。予算だったり、調達だったり、何かと問題や制約が多くて、確かにベストではなかったと思う。
「今日はワインが主役でないし、お客様も喜んでいるようだからいいんだけど……」と前置きをして話し始めました。
「裏で実際にサービスする順に今日のワインをテイスティングしてみたんだけど、シャンパーニュは酸が強く、ドライで口の中がキリッと引き締まる。次の白ワインはまろやかで広がりがある、で次の赤はタンニンが強くやはりドライな印象になって、最後の赤ワインはふくよか。わかるかい? つまりアップダウンが激しくて、これは心地よくないはずだよ。流れがうまくできていないからね」
「ワインを選ぶときは(またはテイスティングするとき)、いつも次のことを考えてなくてはダメなんだよ。いわば次のワインのいい準備になっていること。シャンパーニュは、次の白ワインの準備のため、白ワインは次の赤ワインのため、赤ワインは次のデザートワイン、デザートワインは次のコーヒー(紅茶)……。コーヒーがでたらラディッション(会計)の準備だ(笑)」
飲み手の口の中はその前に飲んだワインの風味が残っているから、前のワインと次のワインは影響を与え合う。酸味の強いワインとふくよかなワインを並べてはいけないということではなくて、どんな流れをつくってゆくかイメージをきちんとしているかなんです。
コースメニューにワインを合わせる場合、まず“点”でみる。つまりそれぞれの相性を考えて何にするかを決めます。それだけでは現代においてはもう通用しない。コースメニューの構成はそれほどシンプルではないからです。
だから“点”でみた後は、全体の“流れ”をよくみてみる。そうすると、どこかに難しい点がみえてきます。
さっきの例のように、酸のヴォリューム・レベルがアップダウンしてたり、ワインの格(価格)が揃ってなかったり(グランクリュとジェネリックがミックスされているような)、1−3皿目までずっとフランス北部のワインを合わせてきたのに最後が急にラングドックとういのもちょっと気になりますよね。品種構成も大切です。同じような品種が続くのもよくないし、アロマティックなタイプとニュートラルなタイプが交互になるのも避けたい。
こうして修正をしてゆくことによって、一つ一つの点を線でつないでゆき、きれいな流れをつくるんです。
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