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レストランでのワインの楽しみは複数のワインを複数の料理とともに味わい、そのハーモニーの悦びを体験することだと思っています。「こんな素晴らしいワインはチーズがあれば幸せ。下手な料理はいらない!」という言葉を耳にしたことがあります。それもありです。稀少かつ高価、話題のワインはソムリエよりも、熱心な愛好家やジャーナリストのほうがよっぽど熟知しています。
ソムリエの役割は、お客様のために目の前にあるワインをヴァリエーション豊かに組み合わせて、単体ではありえない悦びをクリエイトすることなんです。
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【ソムリエ泣かせの現代フランス料理】
フランス料理におけるコース(ムニュ・デギュスタシオン)は70年代、ヌーヴェル・キュイジーヌの流れとともに誕生しました。前菜、スープ、魚、肉というパターンが生まれ、ワインもシャンパーニュ、白ワイン、赤ワイン、デザートワインというだんだん味が強くなってゆく、そんな“流れ”ができていました。
そして、90年代に入ると、それぞれの皿ははっきりとした主張を持つようになり、流れも変わってきました。つまり(味の)強い前菜、軽い魚料理、そしてメインディッシュと強弱の交互が珍しくなくなりました。
最近では13皿、17皿なんていうコースを出す店もあれば、前菜だけで肉も魚も野菜も入り乱れる小さな複数の皿が並ぶ特別な構成を売りにする店もあります。本当にソムリエ泣かせです。どうしているんでしょうか?
そんな心配はともかく、現代においてワインの構成ははるかに難しくなっています。ワインは“軽いものから強いものへ”と流れてゆくべきだからです。
料理に合うからといって、ムルソーの後にサンセールを出すわけにはいかない。かといってムルソーでそのまま通せば、料理を負かしてしまう。ソムリエは料理は負かしてしまうことがあっては絶対ダメです。ソムリエであれば、その点は十分に注意して(自重)しなくてはいけません。
ついこの間、ある料理に合わせてスタッフがムルソーのちょうどよいものがあると提案してきたのですが、料理には大丈夫だけど、季節と合っていないなと思って却下したんですよ。
僕がワインを勉強し始めてた頃(90−94年位)、熱心に読んでた専門料理で田崎さん、高橋時丸さん、木村克己さんが料理とワインの相性を様々な有名店で実際にテイスティングしながらその是非を討論するという連載企画がありました。
その店のスペシャリティに合わせて3人が様々なワインを持ち寄り、コメントもなめらかに盛り上がっていて、すごく面白いんです。でも“フランス企画”ではそうもいかなかったようです。
そうなんです。現実(=現場)では、お三方のように厳密に相性を追求してゆくと、本当に難しいし、筋が通らない。これはあくまでも本の企画だし、三人の意見をあえてぶつけたものだと思うので、整合性や流れという観点で見てはいけないんだけどね。
ただ、「現代では、メニューとワインは合わせにくくなっているんだ」と意識するようになりました。
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