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【 1996年全日本最優秀ソムリエコンクール 】
複数のワインをサービスすることはコンクールでも、現場でもよくあることです。96年の全日本コンクールで僕が提案したラインナップを紹介します。
(メニュー)
ふぐの薄造り、ポン巣、もみじおろし
温製チキンコンソメ
野うさぎロワイヤル、野生キノコと栗のピュレ
スティルトン
イチジクのグラタン |
(ワイン)
グリュナー・フェルトリーナ
マンサニーリャ
マディラン
トウニーポルト40年
トウニーポルト40年 |
厚かましい話ですが、このワインセレクトは僕のなかで本当によくできたもので、これを未だに自分自身で超えたと実感できる場がないんです。
味わいの強弱、世界各国のバランス、料理との相性など、いろんな点で飲み手(お客様)の立場になって考えてみたとしても、これはなかなかのものだったと自信を持って言うことができます。強いて言えば、もう少し“豪華さ”があってもよかったのかなと。あと、当時は一皿ごとに一アイテムという常識はあまりなかったとはいえ、今こう見てみると、スティルトンには違うワインを入れてもよかったと思います。
ただ、「グルメのお客様」という設定から、他のファイナリストは、フグにシャンパーニュ『サロン』を勧めたり、コンソメスープには水(??)、野兎にボルドーのグランヴァンを提案した人もいたと聞きました。あとで聞いてびっくりしたのですが、『サロン』を勧めた理由が、審査員であった田崎さんがお気に入りだからとか、随分よこしまなこと考えていた人もいたようです。
それでは、きれいな“流れ”なんてできるわけありませんよね。“このコースメニューを食べる側になったら、何を飲みたいだろう?”って考えることが本当に答えに繋がるんだと思います。
コースメニューといえば、昨今では懐石さながらに複数の皿がサーブされるのがフランス料理でも一般的になってきました。また前菜でポンと強い料理がでて、二皿目、魚料理は軽くて……なんて構成も、本当に当たり前になってきています。
僕からすれば、懐石や寿司ならそれが粋なんだといえますが、フレンチ、イタリアンであれば、ワインは付き物。そのワインが美味しく楽しめる構成にして欲しいものなんですが。果たして食べ手(お客様)はどんなんでしょうね。レストランは食を通じて、時間、空間、ひいては文化を楽しむもの。そうであれば、もう少しワインのことも考えてくれればいいのになあ、なんて思うんですよ。
実際に、ワインをテーマにしたディナーを開くと本当にお客様に喜ばれます。なぜなら、ワインに合わせて料理、メニューの構成を決めているからです。
相性はもちろんのこと、ワインという指標軸あるので、メニュー構成のバランスがとてもいいんです。ただこれに限ってはワインを飲む人向けであって、それでない人は“対象外”になってしまうんで、レストランという公共の場で提案するサービスとしては片手落ちなんですよね。
サービスは常に“言い訳”や“矛盾”が付きまといます。それを隠れ蓑にして、自分の怠慢を正当化できてしまいます。プロのサービスというのは二段構造になっていると思うんですね。
まずはスタンダード。ワインサービスの流れでいえば、先の六原則、これをしっかりと身につける。どんなときでも守られている。それを基盤にして、現場の実情やお客様の要望に合わせたサービスを展開してゆくことが大切なんですね。
ワイン造りや、求められるワインのスタイル、それらに応じて変化してゆく消費者の嗜好。ワインのサービスやその流れはそれらに伴い、変化してゆくものなんです。
次回は、僕が感じているそんな“変化”についてお話ししたいと思います。
ソムリエ 石田 博
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