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“ワインを美味しく飲ませる”、ソムリエにとって最も大切な仕事というより、ソムリエに与えられた使命ですよね。
いいワインを選ぶことは誰でもできる、今目の前にあるワインをどうやったらより美味しく飲んでいただけるか、ここにソムリエの価値が生まれるのです。
佐藤陽一さんは、“僕が注いだら美味しくなる”と公言されています。その使命感はなかなか実行できるものではありません。でもソムリエと名乗るからには外せません。
僕と佐藤さんとでは表現の仕方やアプローチは違っているかもしれませんが、目指すところは同じなんです。
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【
僕が注ぐとワインが美味しい(?)
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かねてより言っていることではあるけど、われわれソムリエ(人)は、料理人のように素材(=ワイン)を美味しく変身させることはできません。できるのは、そのワインがもつ品質そのものを味わっていただけるよう、最善の状態でサービスすることです。
ですから、そのワインがもっとも活かされる温度と効果的な空気接触によってサービスすることに重点を置くことが大切なんです。
“ワインを美味しく飲ませる”要素は他にもまだまだありますが、温度と空気接触、ここだけ特に注意しておけば大丈夫です。そして一番大切なのは温度です。
今日は、この他の要素も挙げてみましょう。料理との相性は互いのおいしさを倍増させることができるし、ほどほどの料理やワインだってその組み合わせがよければ喜びに繋がります。
店の雰囲気にもかなり影響されます。陽光あふれる開放的なダイニングはソーヴィニヨン・ブランをより爽快なものにするでしょうし、豪華なシャンデリアの下でボルドーのグランヴァンはさらにその優雅さを、そのエレガンスを発揮するでしょう。
サービスも本当に大切です。気の合わないソムリエやマナーをわきまえないサービスでは、どんなワインだって台無しになってしまいます。タイミングも本当に大事。メインディッシュと一緒もサーブされなかったり、逆に魚料理をまだ食べているのに早々とサーブされたりでは残念な結果になります。
個人的な意見だけど僕は、注がれた赤ワインを楽しみながら、メインディッシュを待つひとときをレストランにおける“至福の瞬間(とき)”と思っていて、いつもその“瞬間”をつくれるよう注意しています。
話を戻します。ワインを美味しく飲む要素はまだまだあります。
“季節感”、日本人ならではの感覚かもしれません。春に飲みたくなるワイン、夏のワイン、秋冬のワイン、それぞれあります。また潜在的に求めている味覚や風味というのもあるわけですから、それに合ったものを勧めるのはそのワインの特徴をより引き立たせることになるのです。
ついこの間、ある料理に合わせてスタッフがムルソーのちょうどよいものがあると提案してきたのですが、料理には大丈夫だけど、季節と合っていないなと思って却下したんですよ。
どんなグラスでサービスするかも、飲み手にとっては大きな要素ですね。グラスだけでなく、カラフェやシャンパーニュクーラーをはじめ、様々なテーブルウェアも少なからず関係してくるはずです。
【 僕がやりたい店 】
こんなふうに考えてみると、ワインを美味しく飲ませる要素って店づくりそのものに繋がっていきますね。僕はね、自分で店をやるなら、こんなことにこだわった店をやりたいと思っています。ワインをきちんとセレクトするのはもちろんですが、それは当たり前というか誰でもある程度はできることだし、限界があると思うんです。
質においても、量においても安定供給を受けることって極めて難しくって、たとえば“ブルゴーニュの稀少なドメーヌにこだわる”。最初はいいだろうけど、そのうち品薄になってきて、価格もすごく変わっちゃってなんてよくあること。
ワイン選びにおいてこだわりのあるコンセプト、面白いと思うのですが継続してゆくことって本当に難しいと思うんですね。それだったら、“ワインのサービス”という普遍的なものをテーマしてゆくほうが、より現実的だし、ソムリエらしい店だなって思うんですよ。
ワイン選びのコンセプトって、店(=お客様+スタッフ)が時とともに創ってゆくものなんじゃないかな。もちろん方向性やメッセージ性をきちんと守るという側面もあるわけですが、そればかりが優先されて、実際のお客様とスタッフの要望や意向が反映されないのはよくない。目的や方向性をきちんと保ちながら、流れに上手く乗ってゆければそれでいいんです。
今回の本題は実はこれからです。最近いちばん意識するようになった“ワインを美味しく飲ませる要素”、流れについてです。
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