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【世間は正しい】
――― 神様がいつもみているからね ―――
小さい頃、母親が見ていないところで怠けたり、悪いことをしたりする僕ら(三人兄弟)を戒めるためによく言っていた言葉です。すっかりそんな暗示にかかっていた僕はふと一人になると、“神様がみているから、ちゃんとしないとバチが当たる、たいへんだ”と思っていました。とはいえ、いつもいい子ではなかったけど。
逆になにかいいことがあると、“あっ、あのときいいことをしたからだな”と。単純なもんでしょ。
就職したときに、“立派なホテルマンになる”と意気込みました。明確になにをしたらいいか、よくわからず、「ゴミを平気で通り過ぎるようではホテルマン失格だ」というホテル学校の先生の言葉を信じて、いつでもどこでも、“神様がみてる”とこまめにゴミを拾っていました。いまでもそうですよ。
僕はアピールやハッタリが好きではありません。特にハッタリをかける人は嫌いです。それがとても上手な人がいます。速いペースで上に行くことができるでしょう。コツコツと積み重ねてゆく人より速く。ときにはその上手な人たちのせいで自分が不遇な目に遭うこともあるでしょう。でも世間というのはやはりよくできているもので、結局は正しい評価を下してくれる。必ず報いがあるものだ。松下幸之助さんの本で読みました。
“神様がみてる”という僕の小さな頃からの教えと似ているな、やっぱり本当だったんだと確信に近い思いを持ちました。“神様が……”というと信仰がかっているけど、“世間は……”というと常識に則っていて、解ってくれると思います。
誰だって、楽なほうに進みたがるもので、大義名分に囚われ、犠牲すらもよしとしてしまう。
“世間は正しい”
このことを忘れなければ、道を外さず進んでゆける。その勇気も沸いてくるものだと思っています。
ソムリエ 石田 博
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