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【ちょっとしたこと】
――― ちょっとしたことが大切なんだよね ―――
6歳になる次男が突然、こう言いました。どこで聞いてきたことかは知りませんが、「本当にそうだよな」と実感している言葉です。“いい店”、“いい仕事”とは、そのちょっとしたことを大切にし、一日ひとつはなにかちょっとしたことを改善していることが条件だと考えているからです。
出勤したらまずワインセラーの温度を見る。
グラスワイン用のワインを開けたら、日付を裏ラベルに記入する。
ワインリストに汚れはないか。
サービステーブル(ワゴンなど)にほこりはたまっていないか。
ソムリエだったらそういったことです。また、
おしぼりの香りを季節によって変える。
コーヒーや紅茶、ハーブティー、ノンアルコールドリンクのラインナップを見直す。
そんな人手やお金、時間をかけなくてもできることを守り、継続し、改善してゆくことがとっても大切だと思うんです。自分の職場や仕事の不満って聞いていると、かなり他人事で、一朝一夕ではできそうもないことだったり、抽象的だったりして、「じゃあどうしたらよくなるの? なにがしたいの?」って聞きたくなることばっかりでしょ。
あと、「毎日、同じことの繰り返し」っていう嘆きなんかまさに“ちょっとしたこと”への意識でどうにでもなることだと思うんです。
そうすれば、日常の些細なことにも、目がいくようになり、それを見逃さず行動に移してゆくことにより、“小事が大事を生む”ことに繋がってゆくと思うんです。
メジャー至上最多安打を記録したときの「小さなことの積み重ねです」というイチロー選手のコメントはそういうことを意味しているんだと思うんです。
「そんなことはここでは重要じゃない」なんてことはこの世に存在しないと僕は考えています。
【人間関係は鏡】
――― サービスは鏡のようなものです ―――
パリ、プラザアテネ アラン・デュカスのダイニングマネージャーが言っていました。
「お客様と接するとき、緊張していればお客様もこわばってしまう。慇懃に接すれば相手もその通りに。馴れ馴れしくすればやはり…となるものです」ということです。
話は変わって、僕が就職した頃よく先輩が「うちの客はろくなのがいない。変な客ばっかりだ」と言っているのをよく聞きました。
“それは僕らがきちんとしていないからじゃないかな。僕らがプロらしく、礼儀正しく、エレガントに振舞っていれば、そういう方たちが来てくれるんじゃないかな”って思ったことがあったんです。思い出してみるとこれと一緒だなと。
“鏡のような…… ”というのは本当に的を射た言葉で、サービスだけにとどまらず、人間関係にも当てはまります。実際に鏡に向かってやってみると、
険しい顔をすれば、相手は難しい顔になります。
耳をふさぎ、自分の主張を繰り返せば、相手も意固地に主張します。
背を向ければ、相手も背を向けてしまいます。
一歩前に踏み出せば、向こうも一歩歩み寄ります。
明るく微笑めば、相手の顔も明るくなります。
耳を傾ければ、同じように耳をこちらに傾けてくれます。
人間関係が上手くいかないとき、相手の態度や振る舞いは自分を映し出しているものだと考えると違ってくるんじゃないかと、そう素直に思いたいんです。
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