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ディアソムリエ・ナビゲーション
Dear Sommelier ソムリエに綴る・・・

ディアソムリエ <page 4/4>

【 絶対的基準 

ソムリエの役割と責任に、ワインリストづくりに、ワイン選びにと常に現場的かつ実用的思考を示すマルジョンさんですが、テイスティングについては、テクニカルでありながらも、ワインに対する愛情や思い入れのあるコメントを披露します。

フランスで何回か一緒にテイスティングを共にしましたけど、経営者らしい面白みのない端的なコメントではなければ、詞的で、表現することにしか意味を持たない上滑りなコメントでもない、コンクールさながらのソムリエ的知識を駆使した、かつ美しい表現をしてくれます。

そしてもちろん、どのようにサービスし、どんな場面にいいかなどの実用についてのコメントに加えて、自分の求める個性(あるべき個性を備えるか否か)はこうだとの確かな見解を示します。いわゆる世界中のレストランのワインリストづくりと生産者との交流から生まれた彼なりの絶対的な判断基準を用いて(マルジョンさんはブルゴーニュ、ボーヌ出身です)。

そういった確かな基準があるからこそ、確かなワインセレクトができるわけだし、応用することができるんですね。

“この店にはこれはいい、これはあまりよくない”といった判断にはこの原理・原則ともいうべき基準がとても大事になってくるんです。

 

【 “分”というもの 】

僕は常々、コンクールと現場は繋がっていないければいけないと言ってきました。それはコンクールだけでなく、試飲会、セミナー講師、取材やインタビュー、パーティー出席、コラムなどの執筆活動、いわゆる“外”での活動すべてにおいて言えることです。

コンクールやインタビューなどで披露したサービスや様々な提案は現場で実践されていなければならない。テイスティングコメントを聞いていてよく思うことは、コメントされる料理が、あまりにも非現実的なもので、自身が勤めているレストランで出しているようなものと、まったく繋がっていないことが多いこと。

また、「この白ワインはカラフェに移して、16℃でサービスします」と言っておきながら、現場ではどうですか?

“ホンネとタテマエ”、“理想と現実”。よくいったもんですが、“理論は実践、応用されてこそ、はじめて自分のものなるわけですから、そんな耳障りのいいコメントはまったく意味を成さないものなんだと思います。

だから僕はいつも理想と現実はかけ離れたものにならないよう気をつけています。理想を語るのなら、実現するよう努力しなければいけないし、実現できそうもないことなら、また実現させる覚悟もないのに自分を大きくみせるために大ぶろしきを広げるようなことはしたくないですね。

そう“分をわきまえる”ということはとても大切だと思ってるんです。

 

【 身につけたい“感覚” 】

ソムリエにおける“外”での活動や表現はマネージメントサイドに、現場でのサービスに関わる仕事はオペレーションサイドに置き換えて考えることができます。

マルジョンさんはまさに“フライング・ソムリエ”、世界中を飛び回り、アドヴァイスをし、イベントなどに参加したりと、華やかですが、テイスティング、デカンタージュなど現場的なことに決して手を抜かない一面をしっかりと保っています(ちなみにマルジョンさんはグラスワインをテイスティングした後、バキュヴァンで空気を抜くことは忘れないし、ひとつの作業ごとにかならず拭き掃除や片付けをします。普通のことに思えることですが、立場が下のうちは当たり前ですが、だんだん上になると自分の使ったグラスも片付けない人って多いんじゃないかな)。

“外”に目を向けてばかりはよくないし、“内”のことばかりで閉じこもるのもよくないと思います。自己啓発はほんとうに大事なことですが、外にいつもでかけ、現実(=現場)離れしてゆくと(これはたいてい自分では気づかないことで...)、批判の対象になってしまいます。同じ店の、ソムリエ同士でもそんなことで摩擦が生まれたりもします。これは今も昔も世界中で同じようなことが起きてるんですね。コンクールに批判的な人が多いのも、ソムリエの数と実力は年々高まっているのに、コンクールの参加者があまり増えないのもそのせいでしょう。それはとても残念なことですが、僕ら(コンクールで成績を挙げたソムリエ)の責任だと思います。

かといって自己流ソムリエばかり増えてしまっても、世界から取り残されるでしょう。

マネージメント感覚と現場感覚をバランスよく備えるマルジョンの仕事ぶりやスタンスは僕らにあるべき姿を示してくれているんだといつも思っています。

 

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