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Dear Sommelier ソムリエに綴る・・・

ディアソムリエ <page 3/4>

ユニヴァース

“この料理にはこのワインを”はもちろんのこと、最近では“記念日に飲みたいワイン”、“自宅用のデイリーワインには...”、“クリスマスには...”とオケージョンによるワイン選びというのもよく語られるようになりましたね。

マルジョンさんは先だっての来日で、受けた取材でいくつかのワインを選びました。ロワール、南仏、ボルドーでもジェネリッククラスとどれも廉価なものでした。マルジョンさんは品種やアペラシオンの特徴などていねいにコメントしてゆき、やはり料理、それにオケージョンについてもコメントをしました。

“あれっ”と思ったのが、どれもアペラシオン、品種がまったく違うのに、料理、オケージョンについてはとても曖昧なんです。理論的で、正確、明確な語り口を身上とするマルジョンさんにしては少し奇妙に思えました。

「サラダなどの軽い前菜にもいいと思うし、魚は川魚がいいでしょう。肉でも白身のものでシンプルに調理したものなら楽しめます」といった具合です。オケージョンについても、

「自宅でゆっくり楽しめるワインです。レストランの洗練された食事にも……」と同様なのです。結局すべてのワインを“曖昧”なコメントで終えると、こう付け加えました。

「一回の食事で何種類ものワインを開けることは難しいことです。量と予算には限界があるのですから。ほとんどのお客様が一種類のワインで食事を通すことになります。そういった場合、私たちはやはり、食事を通して(複数の皿と)楽しめる一本のワインを選ぶ必要があります。これはなかなか難しいことです」。

オケージョンについても同様です。

オケージョンというのは人によって様々です。ある人のデイリーワインはある人の晴れの日のワインにもなりえます。このワインはデイリー向け、このワインはハレのためと決め付けることはできないのです。だから私はあらゆるオケージョンに対応できるワイン選びを心がけています。こういった複数の皿、様々なオケージョンにも楽しめるワインを私は“ユニヴァース・ワイン”と呼んでいます。それはアペラシオンと品種の個性がきちんと表されたピュアなワインで、かつバランスのよさ、きめの細かさのある洗練された味わいを持っているものです」。

マルジョンさんがたしかな現場感覚を持っているソムリエであることを示している場面でした。

“ジビエに合うワイン”、“秋の夜長はこのワインでしっとり……”といったコピーはとてもキャッチーでマネージメント的(現場にはいない人的)な考えです。

否定はしません。でも現場からのアングル、つまり実際に楽しむ(それを体験する)側からすれば、ジビエのみ食べる食事なんてそうはないし、何で寛ぐかどうかは人により本当にいろいろなわけで。だからたいていのそういった企画でセレクトされたワインって、きちんと詳細をみてみると、“やっつけ”とまでは必ずしも言わないけど、苦しいものが多いでしょ。“企画ありきで話が進み、期日も迫ったんで、とりあえず形だけ作りました”みたいなね。


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