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自問自答。けっこう普段からしているんです。いろんなことについて。
それは個人的なことから、家族、友人、仕事、野球、サービス、ソムリエ……など、本当にいろんなことです。まあ題材はなんでもいいんです。それこそ“ベージュ東京がミシュランの三ツ星をとったら”とか、“松坂投手と対戦したら”とか夢みたいな話を現実に起こったと想定して、自問自答するんです。それは電車の中とか、ただ歩いている時とか、トイレや、風呂や。「なんかこわいよ……」って奥さんに呆れられています。
そんな中で一番多いシーンはやっぱりソムリエとしてです。このコラム “Dear Sommelier ”はそんな自問自答から生まれたものばかりですから。そんな自分の中の行ったり来たりのやりとりから、今回のテーマ“スタイル”という言葉がでてきたんです。
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「批判を吸収する」
みんなは人からの評価や批評って、気になりますか? そうですね、僕はどちらかというと気にしない方ではないかなと思います。聞く耳を持たないというわけじゃなく(そういうところもあるかもしれないけど)、一喜一憂はしないですね。良くも悪くも批評に対してはそんなに気にしない。自分が納得したら受け入れるっていう感じですね。
その前にその批評や評価はどんな基準で生まれたものなのかによってぜんぜん違いますよね。理論的かつ明確で公正な基準によって下されたものは、もちろん受け入れるしかありません。スポーツもコンクールも仕事も、それらの成果や結果がそれにあたりますよね。そうではなくて、主観的、個人的、感情的で印象的な基準による評価であれば、鵜呑みにすることなく、自分でよく考えて咀嚼するべきなんだと思っています。
1996年、全日本ソムリエコンクールの翌日、田崎さんにこんなことを言われました。
「これからは周りの人がいろいろ言うようになる。よく言う人もいれば、悪く言う人も。当然、悪口のほうが耳に入ってきやすい。でもその倍以上に応援してくれる人たちがいることを覚えておいたほうがいい。悪口なんか気にしなくてもいいんだけど、良く言ってくれる人たちというのは不安定なもので、気がつくと周りにはいなくなってしまったり、悪く言うようになってしまったりもする。だから、ごく一部の悪く言う人たちに耳を傾けて、それらに対して改善していくことが大切だよ」
その時はよく意味がわからず、“悪く言う人にも謙虚に従え”ということだなと理解しました。
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自分らしさ探し
それから数年間、悩んだというか、考えさせられました。“田崎のコピー”という評価にです。
“田崎さんとは違うことをしないといけないのかな?”。とはいっても、田崎さんから教わる全てがソムリエの基本だと思っていたし、他の何より受け入れやすく、何の抵抗もなくスッと吸収できたんです。でもそれは決して間違いではなかったと今でも思っています(というか本当に感謝しています)。僕が短期間で国内で優勝し、世界の舞台に上がることができたのは、“世界最高のお手本”を純粋に受け継いだからです。
ただ、そういわれても仕方ないくらいの露骨なコピーをしてたと思いますよ。田崎さんがレモンサワーを好きと知れば、すぐにどこでもレモンサワー飲んでいたし。神社で世界一を3回唱えたと聞けば、絵馬にはそのとおりに書いたもんです。
“ずっとこんなんじゃいけないよな。自分らしさなんてあったもんじゃない”。でもやっぱり当時はそれしかなかったんだと思います。
でもその反面、自分らしさを守り、独自の路線を切開こうというソムリエの方々、またあらゆる業種の方々(時には同世代の)を知るたびに羨ましく思い、焦りました。
それから10年たった今、そんな“自分らしさ探し”にはすっかり肩の力を抜いて向き合えるようになりました。ある程度の経験と年齢を重ねたからかもしれません。世界的なタイトルを獲ったからかもしれません。でも“いくつかの偉大なものに触れることができた”のが大きかったんだと思っています。
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