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まずは素材を尊重、そして強弱、歴史と伝統をふまえる
続いては、料理とワインのハーモニー。今回は「和食のコースに合わせてスペインの飲み物を勧めてほしい」という条件です。
まずはテクニカルなポイントからお話しましょう。ワインだけではなく、食前、食後酒、コーヒー(紅茶、お茶)、そしてシガーまで幅広く提案することが大切です。そのために、審査員は、“飲み物を勧めてください”と言っているのですから。テイスティングのときも言いましたが、テクニカルではポイントの差がつきにくい。こういったオプショナルなところでポイントが稼げるのはいいですね。
しかし、オプションはあくまでオプション。大切なのはメインの料理と合わせるワインです。オプションに力を入れ過ぎて時間ロスしないように気をつけたいですね。
合わせるのが和食だからといって難しく考える必要はありません。素材を尊重して考えればよいのです。すっぽん、松茸、穴子、和牛……、ワインにとって決して難しい素材ではありません(それを考慮してメニューは考案されています)。あとは素材との力関係を主軸に、調理法、味付けを考慮しつつ、セレクトしていけばいいでしょう。また、すでに定番が出来上がっているフランス料理とワインの相性を参考にして勧めると説得力があがります。
すっぽんのおすましをコンソメ・トルチュ、穴子の蒲焼をマトロートといった具合に捉え、定番ワイン、もしくはその品種、味わいに近いものをセレクトして提案するのです。
まとめると、基本はまず素材を尊重すること。次に料理とワインの強弱(価格的な部分も)を合わせること、それと(フランス料理の)歴史や伝統を学ぶことなんです。
これはコンクールだけに関わらず、現場においても、ソムリエにとってとても大切なことです。
ファイナリストはみんな上手く合わせて提案していましたが、説得力、アピール度が高かったのは、やはり佐藤さんでしたね。とにかく、一語一語が力強かったです。佐藤さんといえば、冷静にお話しされるイメージがある、押し付けというか、威圧するような強さを感じさせない。そんなスタイルをお持ちですが、今回は随分違っていました。ヨーロッパの選手を彷彿させるような、力強さを感じました。テクニカルも説得力もあり、ポイントはかなり高かったのではないでしょうか。ミネラルウォーターもきっちりスペインのものを勧めました。またどんな食事を構成していこうとする意図がよく伝わってきました。
「ここはさらっと。ここはしっかりとした組み合わせで山をつくります」という風に流れを意識して提案しているのが明確に現れていました。
続いては、赤ワインのデカンタージュ。お決まりの課題です。少し違うのがマグナムボトルということでした。ポイントはセミファイナル同様、“正確さと、スムーズな流れ”、加えてボトルコントールです。デカンタージュはただワインをカラフェに移せばいいってもんじゃありません。一定時間に、一定量を(液体が)安定した状態でカラフェに流れていくよう日頃より訓練していくことが大切です。バシャバシャと泡を立てながらといった勢いはよくないし、チョロチョロとあまり遅いのもよくない。安定感が大切なのです。それができている人なら、普段あまり経験がなくてもマグナムボトルはそれほど苦ではないでしょう。“ちょっと重いな”くらいのことだと思います。
もうひとつのポイントは、カラフェが通常サイズのものしかないということです。この場合、カラフェ2つ用意して、1本分くらいの量を移したところでゆっくりとワインの流れを止め、もうひとつのカラフェに持ち換え、残りのデカンタージュを進めます。ここでもボトルコントロールが大切ですね。
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