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他にもタイムリーだった点はあります。ベルヴューってホテルのダイニングでしょう。予約やアテンドについてなど詳細が複雑なんです。当然問題は起こりやすい、ここでは書けないようなことをいくつも経験しました。それはそれでよかったんですけど。ある日、スタッフから“もうカンベンしてください”と言われた。曰く、“石田さんのやりたいこと、示す方向はいいとみんな感じています。でもついていくのにみんな一杯一杯なんです !!”と。
これにはまいってしまった。“あんまり飛ばしたらよくない、ここはトゥールダルジャンと違うんだからと”と気持ちを抑え、抑えやっていたのに、もっとガマンが必要なのか。
“ここでは本当に正しい、やりたいと思うことがやりづらいんだな”と感じるようになった。
話は変わって、ある晩トゥールダルジャンのソムラリ(ソムリエのオフィス)に寄ると、情野さんにアラン・デュカスのシェフソムリエの話が来ているとのウワサ話になっていた。周りから冷やかされた情野さんは、「そんなことはない。それにもうフランス人とは働きたくないよ」と答えていた。それを聞いて僕は“そうかな、僕は働きたいな”と内心つぶやいてた(その頃はまだ渋谷さんと話す前だった)。
初心、35歳、許せない妥協、フランス。そんな要素が僕の背中を押していたんです。
もちろん万事、転職へ順調というわけではありません。問題はベルヴューです。
“3年はいる。そして売上を必ず改善させる”と決心していたし、スタッフにもそれは話していた。退職者も出たばかりで、人手にも、人材にも困っていた。ここでやめるなんてこれ以上無責任なことはないでしょ。
いろいろ行ったり来たりして、“やっぱりできない”と一度はあきらめました。またチャンスはあるだろうって。
でも人に相談するとみんな揃って大賛成なんです。田崎さんは「うーん、それはもったいないよ。2番手なんて」と最初は言いましたが、その後、「よく考えたらいろいろ勉強にもなるしいいかもしれない」と押してくれた。今井さんにいたっては、「とにかくチャンスだ。絶対に乗るべきだ !!」って。
そんな意見が決め手になったわけではないけど、流れに身を任せていくのもいいかなとは思いましたね。それが運命だともいえるし。これまでいくつかの、“おいしい話”をあえて見逃しても、自分の置かれている立場や責任を尊重してきました。“今回ぐらいはわがまま言わせてもらおうかな”とも考えました。
同期入社で、ずーっと一緒にやってきた吉田って奴がね(あ、このコラムにも何度か登場してます)、6月ごろだったかな、転職を考え始めていて、やっぱりなかなか決めかねていたけど結局踏み切った。そんな時期なのかなあと思ってる。彼は神楽坂の人気店、『トゥーエル』のマネージャーになった。
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