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ディアソムリエ・ナビゲーション
Dear Sommelier ソムリエに綴る・・・

vol.7 メディア <page 1/4>


*田崎さんのおかげでソムリエはいろんな場に登場するようになりました。職業としてだけでなく、言葉としても。そしてソムリエという言葉は形容詞として価値をもつようにもなりました。でも、いやだからこそ、“ソムリエって一体何をする人ですか?”という議論はつきることがありません。もともとは(いや本来は)職業です。

ソムリエはエシャンソンまたはエシャンソヌリという語源があります。彼らの役割は倉庫番。王様が遠征するとき、何連もの貨車にたくさんの荷物を積み込みます。そのなかの貴重品を積んだ貨車の番人がエシャンソンだったそうです。その貴重品のなかにワインがありました。

王様の食事にどんなワインにするか。セレクトにおいてエシャンソンは重要な役割を果たすようになり、サービスを担当するようになった。これがソムリエの始まりです。決して世間に知れ渡る存在ではなく、バトラー的な存在だったのです。

時は流れて、ソムリエは世界中でメディアに注目される職業となりました。フランスやイギリス、カナダなどにおいても、ソムリエがテレビやラジオ番組にレギュラー出演したり、コンサルティングや出版に精を出したりするのは決して珍しいことではないのです。

僕もソムリエを目指し、勉強をしていた頃はすでに田崎さん、木村克巳さん、高橋時丸はすスターでしたね。三人が登場する『専門料理』は何度も何度も読みましたよ。それぞれのコメントは今でもよく覚えています。その頃はね、“成功する=メディアに登場する”と思っていましたよ。毎月購読していた『ヴィノテーク』のテイスティングコーナーに登場するソムリエやソムリエコンクールの記事をみながら、「僕はね、こんなふうになってみたいんだ」と彼女(今の奥さん)によく言っていました。

初めて取材の依頼を受けたのは96年の夏。ソペクサの本選出場がきっかけでした。コンクールの話や、ソムリエを目指している経緯、そして2本のおすすめワインを紹介するというものでした(オーストリアのツヴァイゲルトとコート・ドゥ・ガスコーユの白を選びました)。

その後、ポメリー*、全日本*を幸運にも優勝することができ、(メディアから)お声がけいただくことが何度かありました。全日本の翌日にはテレビ生出演というのもありましたよ。もちろんとっても嬉しかったですよ。夢のひとつがかなったんですから。

一番影響が大きかったのは『ブルータス』でした。ブルータスのワイン特集第1弾田崎さんがコーディネーターを務め、我々ソムリエを出してくれたんです。メンバーは佐藤陽一さん、渋谷さん、岩沢さん、中本さん、山本さん、情野さんといった面々です。この号、すっごく売れたみたいで、街でもそれを手にする人をよくみかけました。

その後もいわゆる“田崎一派”はよくよくメディアに登場していました。みんなちょっとした有名人です。その頃あたりかな、

“あんまり、勘違いしちゃいけないな” 

 と思い始めました。何が理由というわけでもなかったけど、なんとなくそう思うようになった。強いて言えば、日本代表になっていたことで、“ソムリエとは……”をいつも自問自答していたんです。それにメディアに愛敬を振り撒いている場合じゃなかった。世界大会が迫っていましたから。自然と取材などの引き合いを敬遠するようになっていました。

*【ポメリー】ポメリースカラシップ:シャンパーニュの大手メーカー、ポメリーとメルシャンが共同で開催する若手育成を目的としたコンクール。優勝者は1ヶ月間のフランス研修と語学研修の機会が与えられる。

*【全日本】全日本最優秀ソムリエコンクール:日本ソムリエ協会主催。主旨はその名のとおりで、かつ次回の世界最優秀ソムリエコンクールの日本代表選考でもある。

 

 

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