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ワインのサービスにおいて一番大切な要素は温度ですよね。テイスティングコメントでも必ず求められます。でもここ最近は、この適正温度っていうものは普遍的なものじゃないんだなって思ってるんです。
現在のレストラン(イタリアン)にきて、少ししてから、ある白ワインをランチでサービスしたのがきっかけでした。
Vermentino di Sardegna。僕がきたときにはすでにあったワインで、あまりいい印象はもっていませんでした。近々、もっと成熟度の高いもの変えようと思ってたんです。ボトルを持ったとき、“冷えすぎだな”と思いつつ、開けてテイスティングをしたら、すっごく心地よかったんです。ワインの品質うんぬんではなく。
召し上がったそのお客様は、「ワインとお店の雰囲気、料理の感じがとても合っていて、気持ちがいいです」とおっしゃいました。
「そうだ!」と気づきました。とても明るく、開放感のあるレストランの雰囲気、その気温や室温、テーブルにある前菜のイメージとワインの個性、グラス(決していいものじゃありません。テイスティング用ですから)、温度など、すべてが調和していたんだと。
その方はトゥールダルジャンの顧客でもあり、ムルソーなんかを好んで召し上がってたんですよ。でもその方にとってトゥールダルジャンでムルソーを飲んだときに感じた“おいしさ”とベルヴューでヴェルメンティーノを飲んだときに感じたそれは同じレヴェルのものだったんじゃないかなと思うんですよ。
「ここでは(ベルヴュー)強いもの、濃縮感のあるものを選べばいいってもんじゃないんだな」。そんなふうに思いました。
それからしばらくして、そのことが「やっぱり!」と思うようなことがあってね。
来ならトゥールダルジャンに行くべき容装のお客様がシャトー・ラトゥールをご注文されました。あ、フランスワイン(特にグランヴァン)あまりないんですけど、時々こういったお客様に恵まれるので、少し置いてあるんです。
もちろん、きちんとサービスをしましたよ。で、テイスティングするじゃないですか。ちょっと違うんですよね。状態が悪いということではなく。何かがズレているというか、しっくりこない。(ベルヴューという)箱にあってないんでしょうね。こういうワインはトゥールダルジャンのようなグランメゾンがしっくりくるということでしょう。
それからは、ベルヴューで「シャンベルタンを飲みたい」とか、「ロマネコンティ、用意できますか?」というお客様に恵まれても、あまり嬉しくないんです。もちろん有り難いことですよ。本当に。でもね、気づかれちゃうんじゃないかなと思って。僕が感じたような違和感を。そしたらその日の食事はそんなに楽しくならないでしょ。売上げ的にいいよりも、「おいしかった。楽しかった」のほうが大事じゃないですか。後々のことを考えれば。
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