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テイスティングの時、この“過去”、“現在”、“未来”のどれに着目していくかは職業によって違ってくるでしょう。ジャーナリストや醸造家なら“過去”が、インポーターなら“未来”を主に見ていくのではないかなと思います。そして ソムリエにとって一番大切なのは“現在” です。
それは ソムリエの仕事はワインを実際に扱い、サービスすること だからです。これがジャーナリストにも、インポーターにも、スクール講師にもない特徴です。
だから、テイスティングの結果を受けてどう活用していくかを考えることがソムリエのテイスティングの目的となります。つまり、いつ、どんな方に、どんなシチュエーションで、どのようにサービスをして、どんな料理と、そしてどのくらいの価格で販売するかを考えることです。
テイスティングコメントを聞いていますと、セオリー自体は完結できるのですが、この活用となると言葉がつまりがちになる人がいます。セオリーをきちんと抑えることはとても大切です。でももっと大切なのは、この活用についてですよね。
たとえ銘柄がキチンと当たっても、パーフェクトなコメントをしたとしても、この活用が抜けてしまってはソムリエのコメントとはいえません。 ワインスクールの先生方のほうがセオリーなら長けているわけですから。
ソムリエにとって大事な要素は“現在”、決して“過去”ではないんですね。もちろん過去がベースとなって今があるわけですから無視はできませんけど。
あと、ストックを大量にしていくレストランでは“未来”は大事ですね。
「あのワイン、そろそろいい頃かなあ」と予測しながらオススメを変えていくんです。もちろん「まだまだだったな」とか、「思ったよりイッちゃってたな」なんてこともありますよ。このへんの予測をしっかりしておかないと将来性のあるワインのストックが少なく、できるだけ早く売ってしまいたいワインのストックが多く残っているという、いわゆる ワインセラーの過疎化 に陥ってしまいます。
食事にいった時、ソムリエが妙に押し付けがましいというか、頑なにあるワインを勧めようとしていたり、またオーダーさせないようにしていたりっていうケースに遭遇しませんか? これはほとんどの場合、セラーの過疎化が起こっていることが原因でしょう。
ちなみにトゥールダルジャンではすべてのワインをオンリストしています。しかしまだその真価を発揮するのには早いですよというアイテムには価格のところに「 en Vieillissement 」と記載します。『熟成中』ということです。たとえ残り一本の希少銘柄だととしてもご注文を受けたら、気持ちよく受けるようにしていますよ。出し惜しみなんて、(お客様の)せっかくの気分が台無しじゃないですか。 ワインは商品であり、かわいい一人娘ではないのですから。
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