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ディアソムリエ・ナビゲーション
Dear Sommelier ソムリエに綴る・・・

vol.2 食前酒 <page 3/3>

気の利いたリコメンド、スムーズなサービス、もちろん美味しい。ここまで上手くいけば、お客様の信頼を勝ち取ることができます。いつもより(予定より)予算を高くしても、この店は裏切らないなと、お客様に思わせることができるのです。これは本当ですよ。

ワイングラスイメージ食前酒はソムリエの実力をアピールするチャンスであり、それは店の実力、食事への期待と比例するものとなるんです。

どんな食前酒がいいかというと、それはお店のコンセプトやグレードなどによって違います。フランスの例と同じです。例えばトゥールダルジャンやタイユヴァン・ロビュッションのような、「フランス文化を伝える」というようなグランメゾンではシンプルであるべきでしょう。シャンパーニュです。サンセールやアルザス・ミュスカやリースリング(軽めのもの)、アルボワなんかもいいと思います。品質も大切ですがイメージはもっと大切です。

ディナー単価 \8,000 〜 15,000 の店はいろんな工夫が必要です。シャンパーニュも必須ですが、ランチのためにもう少し低価格でお出しできるものもそろえないと。クレマンとか、プロセッコとか。あと、季節のフルーツを使ったスパークリングベースのカクテルもいくつか欲しいです。これはシャンパーニュでも、その他スパークリングでもつくれます。スパークリングでつくるとフルーツの香りや味わいが強調され、甘く仕上がります。余韻は短い。ランチ向きですね。シャンパーニュを使うと香り、味わいが引き締まり、上品な感じになります。こっちはディナー向き。

ノンアルコールご希望のお客様にジンジャーエールやオレンジジュースだけというわけにはいきません。季節のフレッシュフルーツやノンアルコールリキュールなどを使ったカクテルを少し揃える必要があります。 アルコールがだめなお客様はお金にならないという考え方は浅はか だと思います。フルーツなどを浮かべたり、飾ったりすることにより、ヴァリューはいくらでもだせます。

ベルヴューはこのカテゴリーにはいるレストランですが、食前酒には気を遣いますよ。 これでいいと思っちゃいけない 。いつも「これでいいのか?」って考えるようにしています。シャンパーニュは季節ごとに変えています。春は華やか、夏はさわやか、秋はまろやかで、冬はコクという感じでメーカーを変えています。スプマンテも同様です。プロセッコも遣いやすいなあと思っています。あとフルーツのスパークリングワイン、ベッリーニやスプモーニ。

ワイングラスイメージ2スプモーニはすこし変わっているんです。レシピは普通なんですが、フレッシュグレープフルーツにローズマリーを漬けて、香り付けをしておくんです。すごく合うんですよ、ローズマリーが。それだけ飲んでも美味しいくらいです。そんな感じで、イタリアらしいエッセンスをちょっとだけどこかで加えるようにしています。今はシャンパーニュとイチゴのフレッシュジュースのカクテルが旬のオススメですが、イチゴにはバジルの香りをつけてあるんです。これもなかなか面白いんです。 トゥールダルジャン時代はなかなか思いつかなかったことが、ひらめくんですよね 。もちろんノンアルコールカクテルも何種か用意しています。ワイン ?  クーラーに、スプラッシュベリー、ロリーナ・ポンペルモ …… 。詳しいレシピはまた今度にしましょう。ただ僕はカクテルの知識がないのでプロからみればかなりいい加減かもしれないんですが、 『気が利いていて美味しい』 を大切にしています。

ビールも結構揃えているんです。フレンチやイタリアンではビールをおかないところが多いようですが、ベルヴューはホテル内のレストランですから外せません。

でも、 「ああ、ビールか」って気持ちでサービスをしたくないし、して欲しくない と思うんです。ならこだわってみたらいいと、ヨーロッパのビールをタイプ毎に揃えてみました。

「そんな出ないかな」って、少し自己満足な部分の反省もあったんですが、これが結構人気なんです。ベルヴューでは国産ビールがテーブルにのっていることがほとんどないくらいです。ひとつ飲んでみたら美味しくて、「全種類試す!」なんていうお客様もいらっしゃいましたよ。

ちなみに今まで使ったビールは、ナストロアズーロ ( 伊 ) 、モレッティ ( 伊 ) 、ヒューガルテンホワイト(ベルギー)、ミュンヘナー・ヴァイス ( ドイツ ) 、ケルシュ(ドイツ)、ピルスナー・ウルケル(チェコ)、シメイ ( ベルギー ) 、サミュエル・スミス・スタウト ( 英 ) 、バス・ペール・エール、ベルヴュー・フランボワーズとクリーク(ベルギー)といったところでまだまだいろんなものを入れ替えつつ使っていきたいなと。

カジュアルなレストランやビストロ、単価 \3,000 〜 5,000 くらいでしょうか。このクラスの店は料理のコンセプトが明確に絞り込んでいるところが多いと思います。さっき言いましたように地方ごとの特色を活かすのが大切です。種類をいくつも揃える必要はないでしょう。食前酒をとばしてワインとなるケースも多いでしょうから、食前酒的役割を担えるワインを揃えておくのがいいです。

ソムリエがお客様からの 信頼を勝ち取るために使える時間って本当に少ない と思うんですよ。ご来店からワインのオーダーテイクまでの、そう、長くても 20 分程度ですから。この間に信頼を築くことができればワインのリコメンドはとても上手くいくし、サービスもスムーズに進められる。言い方を代えると、お客様はソムリエのリコメンドに「 NO 」と言えなくなるんです。そして、また来ていただけます。信頼を得ないまま、いいワイン ( 高価な ) を勧めるだけではリピーターは増えないと僕は思っています。

信頼を勝ち取る。

食前酒はその始めの一歩。

『食前酒よければ、すべてよし』 です。

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