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フランスでは食前にカクテルというのはあまり飲まないようです。パリのトゥールダルジャンで研修してた時に、「なんでおまえはカクテルばかりとってくるんだ!」ってバーのスタッフに呆れられました。確かに周りのお客様はカクテルなんて頼んでなかったですね。むこうでミシュラン星付クラスのレストランでの食前酒はグラスでシャンパーニュ。これが圧倒的に多いですね。「ユヌ フルート ( =シャンパーニュグラス ) 」というだけでシャンパーニュをさします。東京のトゥールダルジャンでも、フルートといえばグラスシャンパーニュをさします。
その習慣でベルヴューでも、「 1 番テーブルにフルートふたつ持ってきて」なんてついスタッフに頼んじゃうんです。それで、数分後ふとそのテーブルをみると空のシャンパーニュグラスが置いてあるだけのことがあって、「なんでまだ出てないの!」と言うと「出しましたよ、フルートグラス」。その時、ベルヴューのスタッフはフルートっていうだけじゃだめなんだなと反省するのですが、忙しくなるとつい「フルート持ってきて!」って頼んでるんです。くだらない話、すいません。
ではビストロなどカジュアル店ではどうかというと、グラスの白ワインでしたね。気の利いた店だとサヴォアやラングドックなどの白といった珍しいワインを勧めていましたよ。パリで面白いなあと思ったのは時期によって、同じようなものをどの店でもオススメとしていいて、 いわゆるモードっていうんですかね。そういうものがあるんです 。一時期、毎年のようにフランスに行ってたことがあって、その頃はパリで流行っていたものを取り入れて、よく勧めていました。最近は全然行ってないからむこうの事情がわかりません。今は何が流行っているのかなあ。
あとは地方毎の定番っていうのがあって、これも知っていると楽しいですよ。アルザスでは辛口のミュスカ、ロワールではクレマンやそれにフルーツのリキュール(ロワールはいろんなフルーツのリキュールがあります)入れたり、ブルゴーニュはやっぱりキールです。プロヴァンスだとパスティス。でも、地方でも高級店はやっぱりシャンパーニュです。
93 年だったかな、ソムリエ試験の事前講習会で田崎さんが
『 ソムリエは最低でも 3 つはオススメをもって、オーダーテイクするべき で、何にしましょうと聞いておいて、あとは黙っているなんて横柄だ』と言っていました。また別の機会で「食前酒は?」ときたら、「オススメは?」と切り返せばいい。ソムリエの実力がわかるとも言っていました。これはすごく当たっているといつも実感、いや、痛感しますよ。
オススメは? と聞いて返せなかったら問題外、 胸のソムリエバッチはすぐどこかにしまいましょう 。言われなくてもそれくらい知ってるよとお客様に言われてしまいそうなりリコメンドもいただけません。オススメはどれも美味しそうでなんだか楽しくなってしまう、そんなリコメンドをしたいものです。それができればお客様はソムリエを信用してくれます。
レストランに着いて、最初に口にするのもですから食前酒の役割はとても大切です。好みはいろいろです。甘いものが好きな人から辛口が好みの人、アルコールに強い人もいればそうでない人もいる、予算に余裕がある人もいればできれば抑えたいという人もいる。その人が持つ文化やリクエストに応えるべく、いろいろとそろえていく必要があるんです。「オススメは?」と聞いて、 様々なタイプの食前酒のリコメンドができるソムリエはお客様本位で考えている なによりの証拠です。
よいソムリエがいるレストランってサービスはいいものでしょう? たいてい。料理やウェイターのサービスは申し分ないのにソムリエがちょっとなんて聞かない話ではないですが 、ソムリエがよかったのに他はちょっと……というのはまずない のではと思うんです。まずね。
リコメンドは上手くいった。でも大切なのは次です。どれ位の時間で出てくるかです。
ただいま季節の洋梨を使ったシャンパーニュのカクテルはいかがですか。美味しそうですね。僕も毎年寒くなり始めると使いますよ。でも洋梨もぎにでもいったのかと思うくらい、またされたら問題です。準備が悪いのか、段取りが悪いのか、それともこだわりか(このこだわりはあまり感心しません)。サービス全体に問題がある証拠です。
でもこれ、言うほど簡単じゃないのはわかっているというか痛感してます。その難しさを。
をいっても言い訳にすぎませんから、理由は挙げませんが、お待たせしてしまうことがあるんです。 「 2 分以内に」とスタッフには言っています 。もちろん早いに越したことはありませんが、あまり早いのも作り置きみたいでちょっとね。タイミングが大切なんです。
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