<page 1/3>
ずいぶん前、まだ 22 〜 23 歳の頃、職場の先輩たちとホテルの鉄板焼きレストランに行った時の話。向かうタクシーの中、先輩のひとりが「食前酒はいつもどんなの飲んでる? 今日はなににしようか」って他の人に聞いていました。僕は「なにがいいかな」って心の中で会話に加わっていました。と同時に 『こういうことを事前に考えておくべきなんだ』 と妙に感心したのを覚えています。
確かに少しあらたまったような場所で頼む食前酒。考えますよね。少しでも気の利いたものをオーダーしたいですから。その時はみんなジントニックとかカンパリとかを頼んでいました。僕はラスティーネールを頼みました。ウェイターの方は「えっ」という感じでした。「知らなかったのかな?」と思いましたけど、今考えると『それは食前には向いていませんよ』ということだったのかなあ。実はその頃、生意気にもホテルのバーに友達とよく行っていて、ちょうど気に入ってたカクテル、それだけなんですけど。「渋いのを頼むね」なんていわれましたけど、その食事、いつもより酔いました。でもこれが僕の記憶に残る食前酒のひとつです。
そういえば、憧れの人とイタリアンでデートした時も、やはり『気の利いたものを頼むぞ』と当時勉強していた本から「これだ!」と意気込んでオーダーしたのが「アペロール」。みなさん知っていますか? 結構知られていないと思いますが、カンパリみたいなものなんですけど、カッコいいかなと思って。でもこれは失敗でした。お店の方が全然知らなくて、もちろん置いてない。そうなるとじゃあ何にしようというのが キツイんです、付け焼刃は 。結局なにを頼んだっけなあ。
みなさんはどうしています? 定番の食前酒ってありますか? マニュアル本全盛の頃は『ビールはタブー』なんて書いてありましたよね。
食前酒、仏語でアペリティフ。食欲を増すものという意味です。食事をより楽しむための準備、いわば胃袋のウォーミングアップです。でもテーブルマナーなるものが堅苦しさを作ってしまったみたいです。食前にはマティーニ、女性ならマンハッタンを頼みましょうって決めちゃったんですから。
ところでテーブルマナーって、誰が決めたんですかね 。シルバーは外側からというのはわかるんですが、シェリーグラス(とても小さな小さな)からずらっとグラスが無数に並んで、スープのすくい方に、ライスや豆をフォークの背にのせるとか。圧巻はバナナの食べ方ですよね。肉料理が二皿(ローストとグリル)もでる豪華なフルコースで、デザートはバナナ一本、それも皮付きって。
話を戻しましょう。一般に認知されている定番というとドライシェリー、ベルモット、キールにキールロワイヤル……。このへんを勧めることはまずないですね。カンパリソーダ、ジントニックも飲めば美味しいんですけど最近聞かないですね。
以前、 ソムリエコンクール( 96 年ソペクサ、同年全日本)で『おすすめアペリティフを造りなさい』っていうのがあってね 、最初は面食らいましたが、普段から意識して仕事していればそれほど難しいことではないです。その流れもあってか、その頃食前に手の込んだカクテルといのも増えたような気がします。カクテルブームもその頃だったかな。お客様からのよくカクテルの注文を受けましたよ。
|